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「チェルシー」終売で昭和世代に広がる動揺。過去には「サイコロキャラメル」などの超定番をシビアに切った明治、市場急拡大中のグミにさらなる注力へ

大手食品メーカー「明治」が4日、キャンディー「チェルシー」の販売を3月で終了すると公表したことが、大きな波紋を呼んでいる。

報道によれば、同社広報は「市場環境や顧客ニーズの変化に伴う販売規模の低迷により収益性が悪化し、販売を終了せざるを得ない状況にあるため」とコメントしているとのこと。実際、2002年度に売上高はピークとなる約25億円に達したものの、22年度は約5億円に低迷していたという。

2011年以降、新商品の発売はなかったチェルシー

当時の日本では珍しかった、練り合わせた原料をそのまま型に流し込む「流し込み」という、英スコットランドの伝統菓子で用いられる製法を採用した「チェルシー」は、1971年(昭和46年)に発売開始。

その商品名は約3,000ものネーミング案から、英国らしさや響きがよいなどの基準で絞り込まれ、最終的に英プロサッカーリーグのプレミアリーグに加盟する「チェルシーFC」の本拠地としても知られる、ロンドン市内のハイソサエティエリア「チェルシー」の地名から名付けられたという。

いっぽうで同製品といえば、作曲・小林亜星、作詞・安井かずみの楽曲『チェルシーの唄』や、「あなたにも チェルシー あげたい」のセリフでお馴染みの、テレビCMは長きにわたり放映されたことでも有名。チェルシーの甘い味わいと同様に、そんなCMがいわゆる“昭和の記憶”として、大いに印象に残っているといった向きも多いようである。

ただ、チェルシー自体は2011年を最後に新製品の発売が途絶えるなど、明治としても過去の大ヒット商品であるとはいえ、近年ではあまり力を入れなくなっていたようで、消費者の間でもその存在感は徐々に薄れつつあったという状況。

実際、今回の“チェルシー終売”の報を受けて、SNS上では残念がる声がとても多いのだが、それらと共に「最近、食べてなかったもんな…」といった、ある意味で“自省”するような声も少なからずあがっているようだ。

Z世代が支えるグミの爆発的人気が昭和世代の“懐かしの味”を駆逐

振り返れば、今では近畿以西のみの限定販売となっている「カール」にくわえ、また「サイコロキャラメル」に関しても全国販売を終了させるなど、いくら過去に一世を風靡したような超定番商品でも、販売が低迷すればシビアに大鉈を振るうといったイメージがある明治。

終売の理由としては、いずれも市場環境や顧客ニーズの変化といったところだが、今回のチェルシーの件でいえば、ものすごい勢いで市場規模が拡大している「グミ」の存在も、かなり影響しているのではと想像できなくもないところ。

2023年の国内における市場規模は金額ベースで972億円と、前年に比べ24.1%増となったというグミ。とある菓子メーカーの調査によれば、グミ人気を支えているのはZ世代を中心とした若者層だそうで、逆にチェルシーのようなハードキャンディーは、年代が下がるほど人気も下がるのだという。

そんなグミなのだが、すでに2021年にはガムの市場規模を上回ったとされ、それを受けて明治は、2023年に「キシリッシュ」のガムを終売とし、チューインガム事業から事実上撤退。代わりにキシリッシュブランドからグミを発売している。

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いっぽうで明治のウェブサイトをみてみると、今や“グミ・キャンデー”のカテゴリーで紹介されている商品は、「果汁グミ」や「コーラアップ」などといったグミばかりで、いわゆるハードキャンディーはチェルシーぐらいといった状況。

明治としては、そんなハードキャンディーの“最後の砦”的存在であったチェルシーも、過去同様にバッサリと切り、いま伸びに伸びまくっているグミ市場にとにかく注力したい……というのが本音といったところのようだ。

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