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運転免許、更新時の講習“オンライン化”が今年度中に全国展開へ。その反面でマイナカードとの一体化により“最強の身分証”からの陥落は時間の問題に

一部の道府県において試行的に始まっているという、免許更新時の講習をオンラインで受講できる取組みが、ここに来て注目を集めているようだ。

報道によれば、この取り組みは2022年2月から北海道、千葉県、京都府、山口県の各道府県で行われているといい、当初は70歳未満の優良運転者のみが対象だったのが、2023年10月からは一般運転者も対象になっているとのこと。上記の4道府県に居住し、マイナンバーカードを所持、なおかつ該当の道府県で免許更新手続きをする予定であれば、オンライン講習が受けられるという。

オンライン講習は、スマホやPCから専用サイトへアクセスし、そこで動画を視聴しつつ確認問題への解答やアンケートに答えるといった流れで、千葉県のケースだと動画の長さは優良運転者が30分、一般運転者が40分だということ。

なお、オンライン化するのはあくまで運転者講習のみで、視力検査や免許証の受け取りなどは従来通り所定の会場に出向く必要があるという。

まだまだ認知度の低いオンライン講習

実は約2年前から行われていたものの、実施されている自治体が少ないだけに、その認知度はまだまだ低い模様である運転免許更新のオンライン講習。

とはいえ、オンライン化されるのは運転者講習だけで、更新時には近くの試験場などに出向かないといけないということで、果たしてそんなに便利になるのか……といった声も一部からはあがっているよう。

だが、実際に利用したという人々からは「新しい免許もらって出るまで15分」「受付して30分かからなかった」などと、現地での滞在時間が従来より明らかに減ったという声が。

確かに、通常の免許更新時において何に時間を取られるかといえば、視力検査などの適性試験や写真撮影を一通り終えた後の、自分が受ける運転者講習が開始されるまでの待ち時間。その点、オンライン講習を事前に受けて免許更新に行けば、講習自体の時間も含めて省略でき、かなりの時間短縮に繋がるというわけだ。

また、オンライン講習だと自宅などで好きなタイミングで受けることができ、何か急用ができた時は動画の一時停止も可能だということで、そのあたりは教官を眼前にして数十分から数時間の間、かしこまって話を聞かなければいけない従来の講習と比べれば、明らかに気楽。ちなみに講習動画だが、昨今若い世代の間では当たり前の“倍速視聴”はできない仕様になっているようである。

進む運転免許証のオワコン化

このオンライン講習だが、報道によれば現在の4道府県での試行を経て、2024年度末までには全国展開させる方針だということ。

何年かごとの免許更新の度に、毎回長い時間を取られることに辟易としていた向きからすれば、まさに朗報といった話なのだが、とはいえ最近では20代の若者の間で運転免許を取らない者も増えているという、いわゆる“免許離れ”も進んでいるとのことで、そういった面からも今後は免許更新時の“混雑緩和”が徐々に進んでいきそうといった状況。

さらにこれまでは、日頃クルマはほとんど運転しないものの、身分証明としては使えるので更新し続けている……といった人も多かったわけだが、2024年度中に始まるとされるマイナンバーカードと運転免許証の一体化に伴う格好で、今後は免許証による本人確認が廃止される方向へ。

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従来までは、顔写真付きということもあり“最強の身分証”といった存在だった運転免許証なのだが、その座をマイナンバーカードに譲るのは時間の問題ということで、今後は日頃からクルマを運転する人以外は、運転免許証を更新し続けないのでは……といったことも考えられそうなのだ。

いってみれば“オワコン化”への道を突き進んでいるといった格好の運転免許証。免許更新時の大混雑が今となっては懐かしい……と郷愁に浸る日が来るのも、そう遠くはないといった状況のようだ。

Next: 「今までの『聞いたふりでもいい』講習より効果ある」

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