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6月以降の電気代、前年同月比で最大46.4%値上げへ。定額減税もこれで相殺?去年以上に暑い夏を前に国民からは“節電疲れ”の声も

6月使用分(7月請求)の家庭向け電気料金が、大手電力10社全てで大幅に値上がりする見通しとなったと報じられ、国民から嘆きの声があがっている。

これは電気料金を抑えるための政府の補助金が、6月使用分から廃止されるためで。前年同月と比べ、関西電力では46.4%、九州電力では43.8%の上昇となるという。

さらに再生可能エネルギー普及に向け、電気料金に上乗せされている“再エネ賦課金”が、4月に引き上げられたことも、値上げに影響したようだ。

電力市場価格の低下で逆に料金値上がりに

ロシアのウクライナ侵攻の影響を背景に、2023年2月に始まった「電気・ガス価格激変緩和対策事業」。

しかしながら、電気やガスの原料となるLNG(液化天然ガス)や石炭の輸入価格が、ここに来てウクライナ侵略前と同程度に低下してきたということで、5月使用分からは補助金の額を半減。そして6月使用分でもって完全な打ち切りが決まったというのだ。

また再エネ賦課金だが、昨年度に関してはウクライナ侵攻の影響などで資源価格が高騰し、電力市場価格が急上昇したことにより、低く抑えられることに。しかしこちらも、今年度に入り燃料価格が落ち着き、電力市場価格が低下したことによって、再エネ賦課金のほうも大幅に上昇する格好となったようだ。

その実際の値上げ幅だが、東京電力で家庭用として一般的な「従量電灯B」プランで、かつ1カ月の使用量を260kWhとすると、再エネ賦課金の引き上げ前の3月使用分が7,576円だったのが、6月使用分は8,930円ということで、月々約1,500円ほどの値上げとなる計算に。

ただ、一般的な4人家族の場合だと月の平均電気使用量は400kWh程度にのぼるということで、家族の人数が増えれば値上げ額は上記の試算よりも当然アップし、さらにオール電化を導入している家庭ともなると、値上げ幅はより拡大するのは必至だというのだ。

節電に励む人々からあがる疲れを感じるとの声

これにくわえ「電気・ガス価格激変緩和対策事業」の廃止ということとなれば、ガス料金のほうも値上げされるということで、電気料金のアップと合わせて、家計に甚大な影響が出ることは間違いない情勢。

この6月からは、昨今の物価高への対策としての「定額減税」が始まるということで、政府がその減税額を給与明細に明記させるよう促すなど、いわゆる“減税アピール”“恩着せ”に躍起だったのだが、結局のところはこの電気・ガス代の値上げ分で、ほぼ相殺されてしまうことに。

それだけにSNS上からは「こんなんで元気になれとか豊かさを感じろとかホント無理です」「政府の選挙前パフォーマンスには騙されないように」「電気料金明細にも政府の補助金廃止しての値上がり分と賦課金大幅値上げ分を毎回記載しろ」など、怒りや嘆きの声が飛び交う展開となっているようだ。

このような電気料金アップに向けて、各家庭としては省エネ家電への買い替えであったり、あるいはできるだけ無駄な電力使用を避けるといった方法でしか対抗できないわけだが、振り返ればここ数年は、絶えず家庭などでの節電が叫ばれ続けていたといった状況。

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その反動もここに来て現れているようで、現にとある住宅メーカーが最近行った調査によれば、日常的に節電をしていると回答した人は7割にものぼり、またそのうち8割以上の人が、2021年以降の電気料金高騰を受け、さらに節電をするようになったとのことだが、その反面で日常的に節電をしている人の7割以上が、節電をすることに疲れを感じていると回答したというのだ。

このように国民の間で“節電疲れ”が広がっている状況下での、今回の電気代の値上げ。状況的には、より一層の節電に励まなければいけないところではあるのだが、今年の夏はあれだけ暑かった去年をも上回る暑さとなることも予測されているとあって、いよいよ心折れる者も続出するといったことも大いに考えられそうである。

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