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英国EU離脱懸念の次に待ち構える米国発「イエレン・ショック」の中身=藤井まり子

後手後手の「アベノミクス第三幕」

それにつけても、安倍自民党政権の景気刺激策の発表が後手後手に回っています。政策発動の動きが遅くて、困ったものです。

安倍自民党政権は、「消費税増税の先送り」は発表したものの、積極的な財政出動についての「具体的な全容」をまだ発表していません。

選挙公約としては、自民党のホームページで、「超低利の財政投融資資金を活用して、官民協調で、今後5年間、合計30兆円を目途にインフラ投資などを目指す」「その対象は、リニア新幹線開業の前倒しや整備新幹線へのインフラ投資、超低金利の奨学金給付」などなどが公示されています。

演説・討論会などでも、時折、与党の政治家たちから、「特別会計の見直し」「行政改革」などという言葉が飛び出してきます。ちょっと一安心ですね。

日本財務省の反感を買うと、埋蔵金は取り崩してもらえませんから、与党も分かりやすく「霞が関の埋蔵金の取り崩し」という言葉は使えません(「埋蔵金」という言葉を使うと、「埋蔵金は全部取り崩せ!」と一揆が起きてしまいます。こうなると、自民党政権と財務省の「取引」が成立しなくなります)。「特別会計の見直し」という言葉を使っています。埋蔵金は、外国為替資金特別会計や労働保険特別会計に合計20兆円規模で眠っています。

「30兆円インフラ」の財源については、「財投債発行おそよ20兆円規模」で賄われると言った情報も一部漏れ伝わってきています。が、正確なところはまだわかりません。

「ばらまき」については、給付型税額控除(主に低所得者層を中心にした減税や現金付)、給付型の奨学金制度(返済する必要のない奨学金の給付)、子ども手当、期限付き商品券の給付などなど、様々な案が出されています。が、これらインフラ投資「以外」の「ばらまき」が、どれくらいの規模でどれくらいの期間行われるのか、なかなか全容が明らかにならないのです。

財政出動と金融緩和「二本立て」の時代へ

ただし、折しも、アメリカ大統領選挙でも両陣営とも、「アメリカでは、今後、およそ日本円にして27~28兆円規模の財政出動」を国民に約束している時代なのです。

2016年の世界経済は、金融緩和一本やりの時代を終えて、「財政出動と金融緩和の二本立て」の時代へと、静かに、大きくシフトしているのです(大きな声で言うと、緊縮マニアの猛烈な反対に遭遇するので、小さな声でしか言えません)。

マーケット関係者の多くが、「金融緩和の限界」を未だにしたり顔で云々言っていますが、時代は既に「積極財政出動の時代」にシフトしているんですね。

ちなみに、繰り返しになりますが、日本の場合は、財政出動は単年度の単発では駄目なんですね。日本経済の場合は、デフレ脱却できるまで、景気刺激的な財政出動をし続けなければなりません(その規模およそ30兆円!?)。

後述するように、生産性低下に悩むアメリカ経済の場合は、生産性が向上するまで景気刺激的な財政を出動し続けなければなりません(その規模日本円にしておよそ27~28兆円?)。

積極財政のもっと具体的な中身と、黒田日銀による追加のバズーカ砲の中身は、このままでは、発表は7月末日以降、あるいは、臨時国会が開かれる秋以降にずれ込むかもしれません(黒田日銀の追加バズーカ砲は、財投債とドル国債買い入れになるのではないのか?)。

日本株投資は「じっと我慢」の時

少なくとも現在の段階では、安倍自民党政権の対策発表が、後手・後手に回ってしまっています。日本株投資はそれまで「じっと我慢」ですね。

アベノミクスはまだ道半ば。財政出動による景気刺激では、金融緩和策による景気刺激の時のような、ドラマチックな市場の上昇は起きらない可能性が高いです。「気が付いたらいつの間にか株価がコツコツ、コツコツ地道に上昇していた!」みたいな感じです。みなさん、「大バーゲンセール」になるたびに根気良く拾ってゆきましょう。頑張りましょう。

大規模財政出動が発表されて、黒田日銀の追加の金融緩和策が発表されたならば、2016年末の日経平均1万9,000円~2万円も、決して夢ではないのです。

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