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初進出の関東でも連日大盛況の「資さんうどん」。その成功の陰にライバル博多うどんチェーン「ウエスト」の存在が?

福岡県を中心に展開するうどんチェーン「資さんうどん」の東京一号店が先日オープンし、連日盛況だと伝えられている。

東京・両国に今月24日にオープンした東京一号店は、開店前に最大170人程度が列をつくったとのこと。列の先頭にいた2人組の男性は、前日の夜11時から並んでいたという盛り上がりぶりで、開店時の列としては「過去最高レベル」と、すかいらーくの関係者は語ったという。

すかいらーくHDによると「両国店がうまくいけば都市中心部へ出店地域を広げることができる」とのこと。駐車場を構える郊外の「ロードサイド」の店を強みとする同チェーンだけに、両国店は都市部出店の足がかりとの位置付けだという。

“コシ強”なうどんが幅を利かす関東エリアだが…

1976年に創業した資さんうどんといえば、創業者夫婦が二人三脚で開発したというこだわりの出汁に多くの客が魅了され、福岡県北九州市を中心に店舗を増やしていった反面、2010年代に入ると後継者問題に直面することに。

同社の株式は地元地銀等が出資するファンドを経て、2018年にはあきんどスシローなど数々の企業の再生を手掛けたユニゾン・キャピタルに渡り、その下では今まで以上の拡大路線を取ることに。それまでの福岡県内のみならず、岡山や大阪・兵庫などにも店舗を増やしていった。

さらに2024年7月には、東京・神田のオフィス街に期間限定のポップアップストアを出店し、それが連日大行列ができるほどの人気ぶりに。そんなタイミングで、すかいらーくホールディングスが同社の全株式を240億円で取得し、完全子会社化したのだ。

【関連】資さんうどん、すかいらーく傘下で全国展開を加速へ。地元からは味の変化を危惧する反応とともに、うどんの柔らかさが受け入れられるか心配する声も

このように外食業界の“巨人”の傘下で、今後2025年には首都圏を中心に21店舗、26年以降はさらにペースを上げて、5年以内に200店舗超を目指すなど、東日本エリアへ出店攻勢を強めていく構えの資さんうどん。しかしその反面で、店舗数拡大とともに資さんうどんならではの味わい、さらに雰囲気が損なわれていくのではないか……といった恐れも、元からのファンの間ではあがっていたところ。

また、同時に心配の声があがっていたのが、博多のうどんの特徴である柔らかい麺が受け入れられるかどうかといった点だ。

特に東京周辺といえば、そもそもがうどんよりも蕎麦といったお土地柄で、それでいて「丸亀製麺」「はなまるうどん」といった讃岐うどんのチェーンが、すでに多く存在する状況。

さらに言えば、多摩エリアから埼玉県の一部で食べられているご当地うどんである「武蔵野うどん」も弾力ある麺が特徴とあって、そんな“コシ強”なうどんが慣れ親しまれている地域で、比較的柔らかめな博多のうどんがはたして受け入れられるのか……といった見方は、SNS上の反応をみても依然として多いようである。

資さんうどんより先に関東進出を果たしていた「ウエスト」

そんななか都内への初出店を今回果たした資さんうどんなのだが、関東エリアということでいえば、すでに昨年12月に千葉県の北西部に位置する八千代市に1号店をオープン。こちらも開店から大人気となっており、周辺の幹線道路では元から酷かった渋滞がさらに悪化するといった事態も起きているよう。

ただそれにしても、なぜ資さんうどんは関東エリアの1号店を、世間からの注目度が高い都内ではなく、ベッドタウンの八千代市に出店したのかという謎が出てくるところだが、そのひとつの要因ではないかと推察されるのが、資さんうどんのライバルでもあるうどんチェーン「ウエスト」の存在だ。

福岡では「資さんうどん」「牧のうどん」と並んでうどんチェーンの“御三家”と呼ばれ、うどんだけでなくおつまみ類などの居酒屋メニューの充実ぶり、またもつ鍋1人前を税込390円で提供(注文は2人前から)するなどの、リーズナブルな価格設定でも人気なウエスト。

そんなウエストだが、実はかなり前から千葉県内を中心とした関東エリアに複数店舗を出店しており、東京都内への進出も、限りなく神奈川県に近い町田市内ではあるものの、当の昔にすでに果たしているという。

ちなみに、昨年末に資さんうどんが出店した八千代市にも、その店舗から直線距離で2~3㎞、クルマでだいたい10分ぐらいの距離にウエストの八千代台店が。さらに八千代からそう離れてはいない鎌ヶ谷や千葉市若葉区などにも、ウエストの店舗がすでに存在するのだ。

いうなれば“コシ強うどん”が幅を利かせているとされる関東地方において、実はこの千葉県内の局地的なエリアに限っては、これらのウエストの存在によって、博多特有の柔らかめなうどんがある程度受け入れられているといった状況。

資さんうどん側としては、そんなウエストが築いた橋頭堡に殴り込みをかける気だったのか、あるいはウエストが地均しした“柔らかうどんの土壌”に丸乗っかりさせてもらおうとしたのか、その思惑は不明なのだが、ネット上などから伝えられる八千代店の盛況ぶりを聞くに、その出店戦略は大成功だったと言えそうである。

Next: 「資さんうどんに大行列を作るってバカだろ」

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