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10兆円硬貨で万事解決?「ヘリマネ」という究極のアベノリスク=吉田繁治

金融機関は耐えられるのか?ヘリマネの最大問題とは

ヘリコプター・マネーによる財政出動になり、金融市場がインフレを予想するように変わったときの最大問題は、(1)大きな円安と、(2)国債の金利高騰です。

国債(中心である10年債)の中立的な金利は、「GDPの期待上昇率+物価の期待上昇率=名目GDP予想成長率」です。

ヘリコプター・マネーという方法での、財政支出の増加10兆円は、確実に、名目GDPを現在の水準より2ポイント(%)は上げます。そうすると長期国債の市場での利回りは2%(または3%)に向かって上がります

満期の償還額面より高くなっているマイナス金利の国債(-0.3%/年)を持っていれば損をするので、金融機関が売りに出し、2%や3%の利回りになるように下がらないと売れないからです。

マイナス0.3%が、現在の10年債の利回りです。期待金利が2%に上がると、国債の流通価格は19%下がります(単利で計算)。

(1-0.3%×10年)÷(1+2%×10年)=0.97÷1.2≒0.81

日銀以外の金融機関がもつ国債は、平均償還期間が8年で、500兆円です。「500×19%×0.8≒76兆円」が、金利が2%に上がったときの国債価格の下落となります。この損失に、金融機関は耐えきれないでしょう。

そうなると、自分だけは損をしないうちに、という動きが横並びになって売りが殺到し、国債価格はもっと下がり、市場の金利は瞬く間に3%から5%へと上がります(2010年のユーロ危機を見るとその期間は3か月から6か月と短い)。これがヘリコプター・マネーのリスクです。


※本記事は有料メルマガ『ビジネス知識源プレミアム』2016年7月20日号を一部抜粋・再構成したものです。興味を持たれた方は、ぜひこの機会に今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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ビジネス知識源プレミアム:1ヶ月ビジネス書5冊を超える情報価値をe-Mailで』(2016年7月20日号)より一部抜粋、再構成
※記事タイトル、本文見出し、太字はマネーボイス編集部による

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