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「緩和強化」という言葉遊び~黒田日銀の“転進”で終わる株高モード=E氏

現在の10年国債利回りはマイナス

なぜ、このようなことを決めたのか?そして、これが緩和なのかを考える前に、今回の日銀政策決定会合前の長短金利の水準を見ておきましょう。今年1月の日銀政策決定会合の決定で短期金利はマイナスになりましたが、それから1ヶ月程度して長期金利もマイナスに入っています。そして、今、日本の10年国債の利回りはマイナスなのです。

短期金利と長期金利の利回りがほとんど変わらないことをイールドカーブがフラット化しているといいますが、日本は極端にイールドカーブがフラット化しているのです。

このどこが悪いのか?についてですが、今回出された効果の検証では「過度なフラット化は、金融機能の持続性に対する不安をもたらし、マインド面を通じて経済に悪影響を及ぼす恐れ」があるとまとめられています。一方において、経済や物価に与える影響は短期・中期金利の方が大きいという分析も発表されています。

長期金利操作導入の経緯

この日銀の効果の検証を元に、今回の長期金利操作導入の経緯を推察するとこのようになります。

「物価目標の遂行という意味で、従来のような短期金利による政策運営を行うことは引き続き望ましい」
「しかし、今はイールドカーブがフラット化しており、長期金利もマイナス水準になってしまっている。過度なフラット化が金融経済に与える悪影響を考えると、長期金利を放置したまま、これ以上マイナス金利を深掘りさせるのは危険かもしれない」
「このため、今回新たに長期金利の目標も決め、操作することにした」

かなり噛み砕きましたが、概ね上のような感じでしょう。これを読むと分かるように、長期金利操作という今回の決定の柱は「緩和手段ではない」ということです。

誤解を招かないように再度言い換えると、「今回の長期金利操作の決定は、短期金利操作による緩和をスムーズにするために不可欠なものだが、長期金利をゼロにするという目標自体は緩和ではない」のです。

要するに、日銀は銀行界から批判を浴びているマイナス金利に固執し、「今後もマイナス金利の深堀りをしたいので、その前に経済に悪影響を及ぼす長期金利のフラット化を食い止める」ために、今回の決定をしたのです。

長期金利だけを見れば「金融引き締め」

この長期金利操作が市場が切望し、そして発表直後に大喜びした緩和ではない最大の証拠は、長期金利の目標水準がゼロ金利近辺ということでもわかるでしょう。

長期金利を当面ゼロにするように、マネタリーベースを調整しますという文言を聞いたときに、多くの投資家は「これはすごい緩和だ」と喜んだかもしれません。

しかし、先ほども言ったように、今年3月以降、日本は長期金利もマイナス水準なのです。

今、マイナスの長期金利をゼロに引き上げるようなオペレーションをしますというのは、長期金利を上げることですよね?

つまり、日銀の今回の決定は市場が期待した緩和どころか、長期金利だけを見れば「金融引き締め」になっているのです。

勿論、この長期金利と短期金利の分断を行うことで、短期金利を今後も引き下げられるという目論見なので、永続的な引き締め政策を決定したのではありません。

しかし、発表直後に日本10年国債の利回りがゼロ近辺まで跳ね上がったように、短期的には金利上昇をもたらす内容を決定したのです。

Next: マネタリーベースは「年間80兆円増」から減る可能性も出てきた

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