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「緩和強化」という言葉遊び~黒田日銀の“転進”で終わる株高モード=E氏

マイナス金利深堀りこそが日銀の金融政策の柱になった

黒田日銀総裁や官邸が「緩和強化」「追加緩和」という表現をしているだけで、実際は緩和ではなく、現時点では金融引き締めでしかありません。

今回の長期金利操作の決定のお陰で、今後マイナス金利を深掘りする際は緩和になりますが、今年1月のマイナス金利導入決定以降の円高・日本株安を思い出せば分かるように、日銀が今後の緩和の柱として位置づけているマイナス金利拡大は市場が嫌うことです。

株式市場にとって直接ネガティブではありませんが、マイナス金利拡大は民間銀行の短期的な収益を悪化させますので、21日の後場に急伸した銀行株は「今回の決定は将来的に銀行株が最も嫌うマイナス金利深堀りこそが日銀の金融政策の柱になった」ということに気付くだけでも相当の株価下押し要因になるでしょう。

加えて、株式ETFの買い方を変えて、従来100%だった日経平均型ETFから、今後はTOPIX型ETFに軸足を移します。今年7月の日銀政策決定会合で日経平均型ETFの買い方を倍増させた結果、世界の株式指数で最も「小額で操作しやすい」日経平均は日銀による買い支え期待もあり不当に高値操作されてきたといっても過言ではありません。

この日経平均の買い方を従来の半分にするということは、日銀の買い期待で8月以降買ってきた投資家の失望による投げを日経平均指数では受け切れないのです。この結果、急上昇したNT倍率は、「行って来い」にはならないものの急下落するでしょう。

つまり、今回の日銀政策決定会合で決定された内容の真意が市場に浸透するに連れて、マイナス金利導入を受けた今年2月の相場のように円は上がり易くなり、日本株は売られやすくなるのです。特に、日経平均は需給の梯子を外された形になるので、世界の主要国の株式の中では独歩で売られやすくなったと思われます。

「これは緩和の強化なので喜べ」という言葉遊び

勿論、当事者が「これは引き締めでも出口戦略でもない。緩和の出尽くしでもない。緩和の強化なので喜べ」と言い続けているので、直ぐに激しい失望は呼びにくいですが、気付いた人からネガティブに反応していくでしょう。

先ほども書きましたが、黒田バズーガのマネタリーベースによる政策運営の肝は「円安・株高」政策と言っても過言ではありません。黒田日銀は中央銀行としては異常なくらいに株価を意識して、株を高値にすることが目標のようにしています。これは、インフレ目標の達成手段としてはあまり意味がない日本株の買い支えを大量に行うことでも明らかです。

今回、マネタリーベースの目標を放棄して、場合によってはマネタリーベースは減少するということを言った以上、表立っては言わないもののこの円安・株高政策を放棄したという事に他なりません。

中央銀行による通貨安政策が事実上終ったのならば、投機筋は円高で攻め易いでしょうから、今年2月のような急激な円高・株安になり易いのです。

市場参加者の過半が今回の日銀政策決定会合は株高政策の終焉を決定したことと同義だということに気付くまではマーケットは方向感がないかもしれませんが、批判的な報道が増えてきている以上、臨界点はそれほど遠く無いでしょう。

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2016年9月25日)

※太字はMONEY VOICE編集部による

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