懸念(4)FOMCとイエレン議長会見
そしてニューヨーク市場に最も大きな影響を及ぼすとすれば、来週13~14日のFOMCとその後のイエレン議長の会見内容です。
現在、市場はここでの利上げを9割がた織り込んでいますが、それで終わり、との見方が多く、実際、債券相場では2年国債利回りが1.28%前後に留まっています。これは6月利上げで終わり、という水準です。
また10年国債利回りも、これまでは利上げの後低下するものの、利上げ前になるとこれを織り込む形で上昇し、昨年12月も今年3月も利回りは2.5%を超えてきました。ところが、足元では依然として金利水準が2.2%前後に低迷し、イールド・カーブはフラット化傾向を強めています。
これに対し、FRB幹部は、地区連銀総裁、理事らが続けて年内あと2回の利上げと、バランスシートの縮小開始を市場に伝えています。
つまり、当局の「正常化」意図を市場が理解していないか、信用していないか、両者の認識ギャップはかなり大きくなっています。それだけに、市場が予想していないことを声明なり、議長会見なりで打ち出すと、ショックも大きくなります。
無視できない「ショック安」の恐れ
例えば、FOMCの声明文で、さらなる利上げの可能性や資産縮小の可能性を書き込むか、イエレン議長が直接、年内の追加利上げやバランスシートの年内縮小開始を示唆するようだと、債券市場のみならず、株式市場にもショックの下げが生じるリスクが高くなります。
逆に雇用の下振れもあり、景気に慎重な見方を出しても、金利低下、ドル安とともに株も下げる懸念があります。
その点、雇用統計を反映して、アトランタ連銀のGDPナウは、4-6月のGDPを年率3.4%成長に引き下げました。コンファレンスボードが出している景気先行指数は足元でも上昇が続いていますが、週次統計をもとに作成しているECRI先行指数は、この2~3か月、頭打ちから低下気味の動きとなっています。
米国のインフレ率、並びにインフレ期待が高まらない中で、利上げを続けると、実質金利の上昇は従来より大きくなり、金利コストの上昇による景気抑制効果は大きくなります。
これは住宅建設、その着工許可件数などに反映されます。市場はイールド・カーブのフラット化ですでに反応しています。これは利ザヤの縮小を通じて金融活動を抑制します。