平穏な時期ではなく、相場の急変時に焦点を合わせるべき理由
相場の世界では、急激で大きな動きは人が思うよりも頻繁に発生します。そして、平穏なときには相場は大きく動かず、急変時にこそ相場は大きく動き、しかもそれが相場の大きな方向性を決定づけます。
また、急変時の相場変動は大方の予想を裏切る方向に動くことが多いわけですから、そうした混乱時の相場変動のリスクをいかに避け、できることならばそこからいかに大きく利益を上げられるか、というところにこそトレードの成績を引き挙げる最大のポイントが潜んでいます。
つまり、長期的な成功を狙うには、平穏な相場環境ではなく、急変時の相場にこそ焦点を当てるべきなのです。
でも、平穏時にうまくいく戦略に満足していると、そうした本当に大切なことから目をそらす原因となってしまいます。私が、一般投資家が取るべき戦略としてコントラリアンをあまりお勧めしない最大の原因はこの辺りにあります。
実際に、多くの投資家は、平穏時の心地よさに惹かれて、ただ何となくコントラリアン的なやり方に吹き寄せられていくように思います。そしてそれが、多くの投資家が勝てずに終わることの一つの背景になっているのではないかと思っているわけです。
次回は、残りのトレンドフォローについて話を進めます。
(この回終わり)
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『田渕直也のトレードの科学 Vol.027』より抜粋