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日本国債を買いまくる日銀の「債務超過」は本当に起こらないのか?=大前研一

高まる配当を意識した株式投資の時代に

日経新聞が全上場企業の配当実績と計画を集計したところ、2017年度の配当総額は12兆4000億円と、5年連続で過去最高を更新する見通しです。一方、稼いだ利益から配当に回したい割合を示す配当性向は、2年連続で減少する見通しで、株主還元の充実が引き続き課題となりそうです。

時価総額というものを想定すると、601兆円ということなので、その2.06%が配当の総額です。昔ですと1%にも達しなかったのに、今は武田薬品などはクリフを乗り越えるときには3%を超えるような配当を出し、機関投資家が留まるようにしてきました。

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したがって企業は、機関投資家から見ると戦略よりも配当利回りが非常に重要なので、それによって惹きつけておくということなのです。それの日本全体の平均が、2%ということなのです。できれば3%程度あると機関投資家は歓迎してくれます。銀行金利が1%にもならないので、このようなときには配当で引き止めておこうとし、あまり企業戦略などを言わなくなってしまったのです。

さらに企業によっては、配当を3%にするために、借金をしてでも配当するというケースもあります。今までは利益の中から配当性向何%とやっていましたが、今は利益に関係なく、借金してでも時価総額に対して3%を維持するなどという状況になってしまっているのです。日本の株式市場では今まであまりこういうことはありませんでしたが、機関投資家やGPIFが相手ということになってくると、このようなメリットの方が重要になってしまったのです。

非常に魅力のある企業戦略を打ち出してもあまり反応がなく、配当性向、つまり利益の何%を配当に回したかということにも興味がなく、時価総額に対して何%なのかという数字に機関投資家が反応するというわけなのです。それもやはり金融機関が利息をほとんど払ってくれないので、仕方がないという話なのです。あっという間にこうしたKPI、パフォーマンスインジケーターが変わってきてしまったというわけなのです。

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グローバルマネー・ジャーナル』(2017年6月7日号)より抜粋
※記事タイトル、太字はMONEY VOICE編集部による

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