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米大統領選挙「後」を見据えて~7つのシナリオで市場の反応を予測する=藤井まり子

「ねじれ」を生じさせる議会選挙にも要注目

アメリカでは、4年に1回の大統領選挙と同時に、上院・下院の議会選挙も行われます。

オバマが「決められない政治」「レームダック大統領」などと揶揄されていたのは、「オバマ大統領が民主党なのに、議会は上院・下院ともに共和党が過半数を占めている」結果、捻じれが生じていたからです。

10月28日にメール問題が再燃するまでは、「大統領選ではヒラリー・クリントンが圧勝し、議会の下院は共和党が過半数を占めるものの、上院は民主党が過半数を占めるだろう」「ねじれ政治は、いくばくか解消されるかもしれない」と予測されていました。

28日までは、それなりに「弱くないヒラリー大統領」が誕生するものと予測されていたのです。

すなわち、「下院の過半は共和党」ということは、ヒラリー・クリントンの選挙公約である「富裕層への増税」「金融機関や製薬会社等々への規制強化」は、まずは共和党の反対で実現しないと見られていました。

「富裕層への増税」「数々の規制強化」は、経済学的には「正しいこと」ですが、アメリカの株式市場(ウォールストリート)にとってはマイナス要因です。

さらに、ヒラリー・クリントンはおよそ2,700億ドルのインフラ投資も準備しています。インフラ投資は、クリントンとトランプの数少ない合意事項です。「ねじれ国会」でも、インフラ投資は実現することでしょう。

ですから、ウォールストリートにとっては、「ヒラリー新大統領」の下での「増税は下院の共和党が否決」「インフラ投資は下院・上院とも可決」というのが、最も好都合なシナリオなわけです。

「トランプ大統領」ならリセッション入り

反対にトランプ候補は、数々の「大型減税」「大型インフラ投資」などなどの大盤振る舞いを提唱。TPP反対どころか、NAFTA(北米自由貿易協定)も、WTO(世界貿易機関)からも脱退すると言っています。

さらには、中国の輸入品には45%の関税を、メキシコからの輸入品には35%の関税をかけると宣言しています。

ピーターソン国際経済研究所は、仮にトランプ候補が提唱している経済政策が新政権の下ですべて実行されたならば、「アメリカには480万人の失業者が出て、アメリカ経済はリセッション入りする」と予測しています。

そこで以下からは、7通りのケースに分けて、アメリカ大統領選挙の結果と、その後のマーケットを予測してみます。

メインシナリオ:その1(もっとも確率が高い)

「ヒラリー大統領:上院民主党:下院共和党」

マーケットは「想定の範囲内」ということでホッとし、いったん少しは反発するかもしれない。が、「政治ショー」が終わり、選挙のほとぼりが冷めたならば、内外の株式市場は、「イエレンFOMCの12月の利上げ」や「原油価格の行方」や「中国リスク」をもう一度織り込みに行く。日経平均は、原油価格次第ではあるが、下落を開始するかもしれない(?)

メインシナリオ:その2(二番目に確率が高い)

「ヒラリー大統領:上院共和党:下院共和党」

「支持基盤の弱い大統領の誕生」「レームダック大統領」ということで、アメリカをはじめとする内外の株式市場は調整を継続。原油価格が下落気味になり、日本株式市場からヘッジファンドたちが撤退を開始する。

Next: 株価暴落もあり得るサブシナリオ3~6 + 侮れない番外編シナリオ

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