日本銀行の岩田規久男副総裁は、三橋の目の前で「デフレはマネタリーベースを拡大すれば、脱却できる」と明言しました。三橋が「マネタリーベースですか? マネーストックではなく?」と、確認したのに対し、岩田教授(当時)は「マネタリーベースです」と明言しました。三橋が「マネタリーベースです」と岩田教授から聞いたことは、天照大神に誓って、真実です。
また、内閣官房参与に就任した浜田宏一教授は、「デフレは(通貨供給量の少なさに起因する)マネタリーな現象だ」と、断言。政府による総需要拡大政策、すなわち財政出動について、小国の閉鎖的経済にしか適用できない「マンデルフレミングモデル」を持ち出し、反対していたのです。
その浜田教授が、「学者として以前言っていたことと考えが変わったことは認めなければならない」と、間違いをお認めになりました。ご立派な態度だと思います。
人間は、間違えます。政府の関係者が間違えると、国民が迷惑をします。とはいえ、最悪なのは「現実を見れば、間違っているのが明らかであるにも関わらず、間違いを認めない」ことです。
浜田教授は、恐らくは学者としての良心から、ご自身の主張の間違いをお認めになられたのでしょう。繰り返しますが、ご立派な態度だと思います。
「デフレは貨幣現象」という、間違った「言葉」について、政府や政治家、官僚、学者の方々が「間違っていた」と認め、「デフレは総需要の不足」という正しい「言葉」に基づき、デフレ対策を推進しない限り、我が国が宿痾であるデフレーションから脱却する日は訪れません。
『三橋貴明の「新」日本経済新聞』2016/11/21号より
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