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さらば発泡酒! 酒税改正に揺れるビール業界、生き残りの条件とは=栫井駿介

普通のビールが一番儲かる

税率の統一は、ビール会社にどのような影響を与えるのでしょうか。

ビール系飲料に占める「ビール」の割合は、アサヒとサッポロは約6割ですが、キリンとサントリーは4割を下回ります

「ビール」の比率が高いアサヒとサッポロに有利のように思われますが、経営的な観点では大きな違いはなさそうです。

「ビールまがい」は、熾烈なシェア争いの副産物として生まれましたが、開発費用がかかる上に価格が安く、利益率はビールと比べてどうしても下がると考えられます。1本あたりの利益を考えると、どの会社にとっても「おいしい商品」ではありません

薄利であっても、数量が売れれば戦略としては成功ですが、少子高齢化やアルコール離れで国内市場は縮小を続けています。減少するパイの中で価格競争を続けても共倒れになるだけですから、本音ではどのビール会社も安堵しているのではないでしょうか。

国内のビール市場では、すでに確立したブランドにいかに付加価値を付けるかが勝負になるでしょう。各社は既存のブランドに「プレミアム感」を出すことに精を出しています。

例えば、キリンは各都道府県の名を冠した「一番搾り」を販売し、親近感を演出しています。これだけなら開発費用もかからず、値下げする必要もありません。

結局のところ、昔ながらのビールを売るのが一番儲かるのです。

アサヒはスーパードライの利益で海外巨額買収

本物のビールで約5割のシェアを持つのがアサヒです。代表ブランドは「スーパードライ」で、同社の利益の大半を稼ぎます。税制改正があれば、大手4社の中で最も得をする会社と言えるでしょう。

しかし、いつまでもその地位に甘んじているわけにもいきません。ここまでにも触れてきたとおり、国内市場は縮小に向かっています。いくらトップシェアと言えど、そこにとどまっていたら停滞は免れません。

アサヒグループホールディングス<2502> 日足(SBI証券提供)

アサヒグループホールディングス<2502> 日足(SBI証券提供)

そこで、成長のためにアサヒが力を入れているのが海外展開です。今年10月に約3,000億円をかけて英SABミラーの欧州部門を買収したのに続き、今月13日には同社の中東欧部門を約9,000億円で買収することを発表しました。

アサヒは、競合他社に比べて海外展開に出遅れていました。海外売上比率はキリン35%、サントリー21%、サッポロ18%に対し、アサヒは14%にとどまります。M&Aによる海外進出は急務になっていました。

また、世界を見ても合従連衡が続いています。アサヒが買収したSABミラーの事業売却も、同社が世界最大のビール会社であるアンハイザー・ブッシュ・インベブに買収されたことで、独占禁止法をかいくぐるために行われたものです。

寡占化が進む世界のビール市場において、アサヒをはじめとする日本のビール会社は後れを取るまいと躍起になっていることが伺えます。

Next: アサヒの巨額買収はまともな感覚ではない/サッポロは台風の目になるか?

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