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見逃せない兆候。きたる2017年のグローバル政治・経済はこう動く=斎藤満

「悲劇の1930年代」再来も

すでに「トランプノミクス」では、米国第一主義を掲げる中で、TPPやNAFTAを否定し、競争相手国に高い関税をかける意向を示すなど、保護貿易主義の兆しがうかがわれます。

これに中国政府が報復措置を匂わすように、世界規模の報復的な措置を引き起こすと、30年代のような世界貿易の縮小、経済の収縮をもたらす懸念があります。

これに主要国のポリシー・ミックスが金融抑制、財政拡張に傾くと、これも経済面で反グローバル化を促す面があります。

主要国の金融緩和は、日米欧から周辺国、新興国にマネーが流れ込む役割を果たし、結果として経済のグローバル化を促進しました。しかし、この蛇口を閉め、代わって国内本位の財政拡張にシフトすると、この流れが大きく変わります。

つまり、拡張財政策をとれる国は、自らに財政資金が投下され、需要の追加がなされます。その恩恵は時間を経て貿易を通じて新興国に還元されますが、金融緩和のような直接的なマネーの流入に比べると、影響は限られます。

しかも、主要国が流動性供給の蛇口を閉めるだけでなく、米国のように利上げを進めると、むしろ資金は逆流し、米国が潤い、新興国が干上がります

米利上げ加速で中国が懸念材料に

新年にはFRBが利上げペースを加速すると見られます。米国経済に供給余力がない所へ、トランプ次期政権が大型減税、インフラ投資を予定しているため、インフレ懸念が高まるためです。

新年の予算教書で計画が明確になれば、利上げスタンスも固まるでしょう。また財政・貿易の「双子の赤字」拡大も米国の長期金利上昇をもたらします。

すでに新興国では、ここまでの金利高、ドル高で、新規の社債発行が大幅に減少し、自国通貨安を阻止するために利上げを余儀なくされるところも出ています。

新年には、米国経済は良いとしても、中国や南米など新興国の経済は、資本流出と通貨安で、大きな負担を強いられます。

同時進行する米国経済の拡大と新興国の縮小

米国経済の拡大と新興国の縮小が同時進行すると何が起きるか。かつて「デカップリング」という言葉が広がりましたが、好不調の経済が分断したままの状況は長続きせず、最後はどちらかに引っ張られることが分かりました。

リーマン危機時は中国の大規模景気対策で底割れは回避できましたが、中国がその後バブルや祖債務問題の遺症に苦しみました。

米国での財政拡大、景気拡大は新興国にプラスの面はあるにせよ、新興国の悪化が米国経済を冷やす面も無視できません。世界が大規模金融緩和を織り込んできた分、その修正、引き締めが起きると、グローバル経済では収縮力が大きく、米国の財政需要だけではカバーしきれないと見るのが妥当だと思います。
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※本記事は、『マンさんの経済あらかると』2016年12月26日号の抜粋です。ご興味を持たれた方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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マンさんの経済あらかると』(2016年12月26日号)より抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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金融・為替市場で40年近いエコノミスト経歴を持つ著者が、日々経済問題と取り組んでいる方々のために、ホットな話題を「あらかると」の形でとりあげます。新聞やTVが取り上げない裏話にもご期待ください。

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