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現役世代「生き残り」のマイホーム戦略~銀行住宅ローンに潜む罠とは?=東条雅彦

日本が財政破綻しなくても、変動金利型ローンには危険がいっぱい

金利0.5%、25年の返済計画で2000万円を借り入れた場合、返済総額利子総額は次のようになります。

<金利0.5%>

・毎月返済額:70,933円
・返済総額:21,280,056円(利子総額:1,280,056円)

もし金利が0.5%上昇して、1%に到達した場合、次のようになります。

<金利1%>

・毎月返済額:75,374円
・返済総額:22,612,189円(利子総額:2,612,189円)

金利がたった0.5%上昇するだけで、利子総額が2倍(約128万円→約261万円)に跳ね上がります。さらに0.5%上がると、こうなります。

<金利1.5%>

・毎月返済額:79,987円
・返済総額:23,996,020円(利子総額:3,996,020円)

利子総額は400万円近くまで跳ね上がります。変動金利の問題は契約上、「利子総額の上限がなく、返済総額がどんどん膨らんでいく」点にあります。さらに金利が0.5%上がって、2%になった場合はこのようになります。

<金利2%>

・毎月返済額:84,770円
・返済総額:25,431,142円(利子総額:5,431,142円)

利子総額が540万円を超えて、毎月返済額が当初の計画よりも約1万4千円(84,770円-70,933円=13,837円)も上がってしまいました。

ちなみにこの金利2%というのは、2013年4月から開始した「アベノミクス」で、政府と日銀が目指していた水準です。当時、2年で2%の物価安定(2%のインフレ)目標を掲げていました。

物価が毎年2%上がる経済環境では、通貨の価値は1年で2%下落します。そのため、銀行は例えば100万円を貸し出すと、1年後には実質的な価値が約98万円になるため、最低でも2%の金利を要求しないと赤字になります。

銀行から見ると、貸出金100万円に対して1年後に102万円を返済してもらって、ようやくプラスマイナスゼロというのが、「インフレ率2%」の経済環境です。

もしアベノミクスが成功していたら、住宅ローン金利は、銀行が利益を出せる水準である2.5~3%程度の水準を目指す展開になっていたと推測できます。仮に金利が2.5%になった場合の試算結果がコチラです。

<金利2.5%>

・毎月返済額:89,723円
・返済総額:26,916,835円 (利子総額:6,916,835円)

利子総額が700万円近くまで膨れ上がってしまいました。

アベノミクスの成功ケースでは、賃金も2%程度の上昇を期待していたと思われますので、それを考慮するとどうなるでしょうか?

<賃金が2%上昇した場合>

・月収25万円の人→25万5,000円
・月収30万円の人→30万6,000円
・月収40万円の人→40万8,000円

賃金が上記のように2%上昇して、同じように金利も2%分上昇して0.5%から2.5%になった場合、実質的な毎月返済額が70,933円から89,723円に上昇し(18,790円の上昇)、賃金上昇額(5,000~8,000円)よりも大きく上がっています。

ローン返済総額は、21,280,056円から26,916,835円に上昇しました。当初の予定より、約560万円も返済総額が膨れ上がるのです。

金利も賃金も平等に2%上昇させたのにもかかわらず、変動金利型の住宅ローンでは
毎月返済額の上昇額(18,790円)>賃金の上昇額(5,000~8,000円)
となってしまいます。

前回の記事では、変動金利のリスクについて政府の財政破綻を想定して話していたので、一部の方に誤解を生じさせてしまい、申し訳ございませんでした。専門のファイナンシャルプランナーの方からも「極論を振りかざして変動金利のリスクを必要以上に煽っているだけ」というお叱りを受けました。

そのため、本稿では財政破綻ケースではなく、アベノミクス成功ケース(景気回復ケース)で検証してみましたが、どうでしょうか?

金利がほんの少し(2%程度)動いただけでも、変動金利の契約では「当初の返済計画から比べると利子総額が大きく膨らんでしまう」ということは、上記のシミュレーションを通じてご理解いただけると思います。

今となっては、リフレ政策の間違いが判明してアベノミクスが失敗したため、変動金利を選択していても「運よくダメージがなかった」だけです。ただ、今後どう動くかはわかりません。

景気回復であれ、政府の財政破綻であれ、金利が上昇する局面に遭遇すれば、「これだったらフラット35(固定金利1.1%)に借り換えしておけばよかった」と、多くの人が後悔することになるでしょう。

借金における金利は、「複利マジック」が反対方向に作用してしまうため、私たちの想像を超えた動きをするのです。

上記のシミュレーションでは、「5年ルール」や「125%ルール」を考慮せずに計算しています。しかしながら、これらのルールを適用させても、返済総額は膨れ上がる方向にしか向かいません(この点は次回の記事で詳しく検証していきます)。

Next: 今回の結論:やっぱり有事には「フラット35」が圧倒的に有利である

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