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資産運用のプロである私が考えた「2017年型ポートフォリオ」のすべて=田中徹郎

各種相場の流れと投資スタンス

(1)株式と為替

昨年のアメリカ大統領選挙以降、世界の先進国株はずいぶん上がりましたね。ただ、アメリカ株に関していえば、相当先の経済まで株価は先食いしてしまったのではないでしょうか。仮にトランプさんの経済政策が機能したとしても、その効果が表れるのは来年以降になると考えておくべきでしょう。

したがって今年前半のアメリカ株は、よくてせいぜい現状程度のボックス圏ではないかと思います。ただし、年の後半以降は、来年のトランプ効果を織り込む形で上昇に転じる可能性はあると思います、来年度の企業業績が10%増益になると想定し、アメリカ株も年末には現状+10%、すなわちダウ平均ベースで21000ドルはあると思います。

日本株に対して、僕はさらに強気です。前段で申し上げたように、2017年3月期の企業業績は、1ドル=102円を前提に+7%程度の増益を想定しております。ですが、すでに足元のドル円レートは1ドル=115円程度まで円安が進んでいます。このドル円レートに関しては米国の利上げを強く織り込みすぎで、僕は早晩1ドル=105円±10円程度の「ちょうどいい湯加減」レンジに戻ると考えます。それでも先ほどの1ドル=102円からみれば円安です。

この水準が2017年を通して維持されるなら、来期(2018年3月期)の企業業績は、さらに10%程度の増益まであるのではないでしょうか。この場合、日本株もその+10%に向けて収れんするでしょう。すでに現在の日経平均19,400円が2017年3月期の企業業績を織り込んでいるとすれば、そこからさらに+10%…。今年のクリスマス頃の日経平均は21,000円台に乗っていても不思議ではないでしょう。

これに対して、欧州株にはさほど期待しておりません。経済成長は巡航速度の1%程度を維持できると思いますが、なにぶん政治と金融機関の不良債権問題は常に株価の下押し要因です。価格変動が激しい割に株価の上昇は限定的で、リスクとリターンのバランスを欠いた一年になるでしょう。できればこのエリアの株式保有は避けたいところです。

昨年末、マネーが大量に流出した新興国はどうでしょう。参考にしたいのは2013年の「バーナンキ・ショック」時の新興国株急落です。当時FRB議長だったバーナンキさんによる金融引き締め宣言(正確にはQE[流動性供給策]のテーパリングに関する言及でした)によって、新興国から急激にマネーが逃避しましたが、それも数ヶ月のうちに収束しました。

今回もトランプ・ショックで同様の現象が起きましたが、通貨安は経済にとって悪いことばかりではありません。今回はコモディティ相場の上昇もあり、逆に資源型新興国にとって経済の追い風になるでしょう。

新興国株や新興国通貨はやがて買い戻され、一年を振り返ってみれば、まずますの成果を期待できると思います。新興国株投資のスタンスとしては、相場に振り回されることなく我慢強く持ち続けることをお勧めいたします。

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