各種相場の流れと投資スタンス:(2)債券と金利
今年は債券相場と金利に注意しておきたいと思います。昨年央一時1.5%台まで下がった米国の長期金利(10年物アメリカ国債の利率)ですが、大統領選以降に急騰し、一時は2.6%台に乗せました。
さて、その米国の長期金利…今年はどう動くのでしょう。トランプ次期大統領の目玉経済政策である減税とインフラ投資が実行に移された場合、以下のような経路で金利は上がります。
- 減税→経済の活性化→金利の上昇
- インフラ投資拡大→財政悪化→金利の上昇
市場はすでにこのような流れに沿って動いていますが、少し相場は先走り過ぎではないでしょうか。株と同じ理屈で金利の上昇も当面お休みし、しばらくはボックス圏、年の後半から再び上昇に転じ、年末の予想レンジは2.8%程度と見ております。
仮に上記の想定通りに米国の10年国債の利回りが2.8%まで上がればどうでしょう。税引き後の手取りベースで約2.2%…不動産に比べればやや物足りない感がありますが、それでもリスクゼロです。分散の対象として有効な選択肢ではないでしょうか。
日本の金利にも注意が必要です。冒頭の繰り返しになりますが、年末あたり日銀のQE縮小が意識され、金利が急騰するというシナリオも十分あると思います。長らくゼロ金利が続いただけに、国内の長期金利が急騰すれば、私たちの生活に大きな影響が出ます。
一番の注意点は、住宅ローンの利払いです。いま変動金利で長期のローンを組んでいる人は、多少支払いが増えても固定金利型への借り換えをおすすめしたいと思います。あと、自己資金を抑えたアパートローン融資を受けている人も…。
現在のような超低金利下では、支払利息<家賃収入 ですので、レバレッジの無限拡大=収益の無限拡大 という構図が描けます。ですが金利が急騰して 支払利息>家賃収入 となると歯車は逆回転し、その先は破たんです。過度な融資には十分お気を付けください。
国のレベルでも同じことが言えます、国が支払う借金の利息(国債の利子)は、金利の上昇時には膨らみ、財政は負の連鎖に陥ります。我が国にとって、税収の拡大と歳出管理の正念場が近づいているように僕は思います。私たち個人も、万一のための対策が求められているのではないでしょうか。つまり現物資産への合理的な資産配分です。