各種相場の流れと投資スタンス:(3)国際商品相場
2012年から2015年まで、国際商品相場は下落し続けました。この間、日米欧の中央銀行が市場にマネーを供給し続けたにもかかわらず、なぜ商品相場にマネーが流れ込まなかったのでしょう。僕は以下3つの理由があると思います。
- アメリカのシェール革命
- 中国経済の成長減速
- 商品相場のスーパーサイクルの終焉
では、今年はどうなるのでしょう。原油を例にとって少し考えてみたいと思います。
昨年末「OPEC」と「非OPEC」が原油の減産について合意しましたが、産油国側の財政事情を勘案すれば、この合意は守られる可能性が高いと思います。
一方で需要の方はどうでしょう。中国や新興諸国の需要は今年も伸びが予想されており、世界全体でみれば、需給環境は昨年より改善するのではないでしょうか。したがって今年の原油相場は、アメリカのシェールオイルの産出が増えない水準が上限で、あえて言えば1バーレル=45ドルから上は60ドルといったところではないでしょうか。
次の注目セクターとして「穀物」を挙げたいと思います。昨年は北半球の穀倉地帯が好天に恵まれ、アメリカでトウモロコシと大豆が史上最高の豊作を記録しました。一方で、昨年の相場を振り返るとどうでしょう。さぞ下げたのではないかとお思いになるかもしれませんが、意外と下値は堅く、トウモロコシに関しては1ブッシュエル=300セントが底で、年末にかけて幾分の上昇すら見られました。
このようなことから、穀物に関していえば、二年連続の大豊作で下値がほぼ見えたと考えてよいのではないでしょうか。つまり今年また豊作になったとしても、300セントのラインが下値になるという見立てです。逆に、夏場の受粉時期に悪天候が続くようなことがあればどうでしょう…。今年の穀物はそのような観点で臨みたいと思います。
最後に「貴金属」について一言だけ…今年は久々に「銀」に注目したいと思います、銀の現在の相場は1オンス=16ドル台後半ですが、この水準は2009年以来の安値です。
銀に限らずプラチナや金も、ドルベースでは安値に放置されていますが、貴金属は全体的に売られすぎているように思います。仮に貴金属全体の水準訂正があるとすれば、その恩恵を最も受けやすいのは、市場が小さく、ボラティリティが高い銀ということになるでしょう。