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GPIFの運用成績に一喜一憂する日本人が知らない「年金問題の急所」=持田太市

日本の年金問題は「GPIFの運用益」で解決できるほど甘くない

私たちの厚生年金や国民年金の保険料を運用しているGPIFの運用資産額は、直近で132兆円(2016年第2四半期末)となっています。この132兆円が多いのか少ないのか、ということが気になると思いますが、1ページで概要を説明してくれている厚生労働省の資料が参考になります。

出典:厚生労働省(平成27年度予算ベース)

出典:厚生労働省(平成27年度予算ベース)

こちらにある通り、

(A)国民からの保険料:35.1兆円
(B)年金に対する国庫負担:12.2兆円
(C)受給者に対する年金支給額:54.2兆円

ざっくりと状況はこうです。働く世代の保険料(A)と国の負担(B)を合わせた金額が【約47兆円】に対して、年金受給者への支給額(C)は【約54兆円】で、その不足する金額(差額である【7兆円】)について年金積立金を取り崩している計算になります。

この不足額を年金運用でカバーできれば良いのですが、単純計算で年率15%での運用利回りをとらなければなりませんので、これは非現実的なことです。

これからますます少子高齢化が進み、(A)保険料は減り、(C)支給額は増え、という構造的問題がありますから、よほど大きな改革をしなければ制度破綻は免れない、ということは小学生にでもわかるでしょう。

改革としてはシンプルですが、(A)保険料を増やす(働く世代の負担を増やす)、または(C)支給額を減らす(年金受給世代の負担を増やす)という話です。

昨年12月に厚生労働省主導のもと、年金改革法が成立しました。ここで一番議論になったのは、野党が「年金カット法」と批判した「年金額の改定ルールの見直し」という項目です。
年金改革法(平成28年法律第114号)が成立しました – 厚生労働省

詳しくは上記サイトをご覧いただきたいのですが、一言でいえば、賃金変動に応じて年金額を見直します、という話になります。世の中の賃金が減っているのであれば、年金支給額も減らしましょう、ということです。

例えば、世の中の物価が2%上昇したとします。りんごが100円から102円になりました。しかし、賃金は1%下がったとします。1000円もらっていたのが、990円しかもらえなくなります。物価が上がっていく過程において賃金が上がらなければ、実質的に私たちの生活は苦しくなります(この場合、リンゴが10個買えなくなるのです)。

一方、年金支給額について、物価が上がり賃金が下がる場合、それを相殺させるようなかたちで金額が決定していました。上記の例でいえば、これまで1000円支給されていたものが、1010円もらえるようなイメージです(賃金下落があるので、物価上昇を全て反映しないのです。ただしこれは例ですので厳密な計算ではありません)。

現役世代の賃金が下がっているのに、年金支給額は増えるケースもあるのですね。

これは当然フェアではありませんので、現役世代の賃金動向に合わせて見直します、ということを定めたのが今回のルールです。仮に物価が上がっていたとしても、賃金が下がっているのであれば、年金支給額も減らします、ということです。

Next: 「年金カット法案」は、同時に「年金公平化法案」でもある

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