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GPIFの運用成績に一喜一憂する日本人が知らない「年金問題の急所」=持田太市

「年金カット法案」は、同時に「年金公平化法案」でもある

そしてもう一つあります。賃金が上がっていくケースを想定してください。

賃金が上がればそれに応じて年金支給額も増えることになるのは上述した通り。しかしその増額幅を減らす調整をします、というルールがもともとありました(これをマクロ経済スライドと呼びます)。

例えば、賃金が2%増える場合、年金支給額は1%だけ増やします、ということです(数字はイメージです)。年金支給額が抑えられるので、年金制度の維持に貢献します。

一方で、賃金が0.5%増えるケースだとします。この場合、本来であれば調整が入りますので、年金支給額は-0.5%減らすことにしないといけません。しかし名目上は支給額を維持します、ということにしているため、年金支給額の増減は無し(±0)となります。

しかし今回の新ルールでは、この「-0.5%」をキャリーオーバーさせて、将来に負担をまわしますということを決めています。

極端な例でいえば、毎年0.5%の賃金上昇があって、しかし年金支給額はずっと±0%で、それが10年続いてしまった場合、キャリーオーバーは-5%にも上ります(-0.5%×10年)。

そしてもし賃金が一気に5%上昇するようなケースがあったとしても、年金支給額は過去のキャリーオーバーをここで相殺させますので、賃金上昇分を一切反映させずに、支給額を増やすことはしないことになります。

あくまで例ですが、5%もの賃金上昇がある場合、相応に物価上昇(インフレ)が発生しているはずです。インフレがあるので、年金支給額を増やさなければ、実質的に目減りしてしまいますが、上記の通りキャリーオーバーがあれば支給額を増やしませんので、年金受給世代の生活は厳しくなってしまいます。

以上の通り、年金支給の負担者である現役世代の賃金に合わせて、受給額を公平に調整していくことを目的としていることがわかるかと思います。

このルール改定にご興味あれば以下のサイトをご覧ください。1ページのスライドにまとめられています。
年金額の改定ルールの見直し – 厚生労働省(PDF)

これは以前もメルマガで記載した話ですが、この法案について、年金受給世代からみれば「年金カット法案」であり、働く世代からみれば「年金公平化法案」となります。立場が変われば、見方が変わります。

Next: GPIFの運用パフォーマンスではなく、毎年の過不足金額が問題だ

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