GPIFの運用パフォーマンスではなく、毎年の過不足金額が問題だ
(C)年金支給額を減らすことをしていかなければならない、ということは日本政府もわかっていて、それを粛々とやっていくしかありません。そしてその間に、不足額はなるべく年金運用でカバーするように努力しないといけません。
それでも上記の単純な計算によって、不足額は毎年相当の金額になっていくのは明らかですから、いずれ積立金も枯渇していくでしょう。
前回のメルマガで、2030年頃には抜本的な見直しを迫られる、実質的に年金制度破綻がある、と申し上げたのはここが根拠になっています。単純計算ですが、毎年7兆円が不足して、それが15年間あれば、100兆円以上もの積立額が無くなります。
その間に、受給者は右肩上がりで増えていきますし、あるいは日本の財政自体が維持困難になっていくということで(B)国庫負担額が減らされるかもしれません。(A)年金保険料が大幅に増えるわけではありませんから、大きな痛みを伴わない限り、制度破綻は避けられない、と考える方が自然です。
しかし勘違いをしてはいけませんが、全くもらえなくなる、ということではありません。
なぜなら(A)年金保険料という年金原資があるからです。この原資を受給者に分配することができますから、金額は大幅に減るでしょうが、年金制度自体は残ることになります。ちなみに前回も書きましたがこれを「賦課方式」と言います。
現在の(C)年金支給額の6割くらいが(A)です。現実的に考えれば、2030年頃になっていれば、年金受給額は現在の6割くらいになっているだろうと予想できます。前号でも書きましたが、現在の受給額が平均20万円/月であれば、その6割なので12万円/月、という計算になります。
不足額7兆円という金額がゼロに近づけば年金制度は維持されるという単純な話ですが、私たち日本国民がみなければならない点はGPIFの運用パフォーマンスではなく、むしろ毎年の過不足金額だと指摘しておきたいです。
『週刊「年金ウォッチ」-自分年金作りのためのメルマガ』(2017年1月17日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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