リクルートの成長性は「PER36倍」を正当化するか?
上場以来、上昇を続けてきたリクルートHDの株価ですが、今でも買いと言えるのでしょうか。
同社のPERは36倍と、東証1部平均の16倍と比較するとかなり割高な水準と言わざるを得ません。この株価を正当化するためには、かなり高い水準の成長を成し遂げる必要があります。
当面の成長を牽引するのはIndeed事業でしょう。世界的な人手不足もあり、求人がなくなるのは考えにくいことです。Googleや他の競合相手との競争に打ち勝ち圧倒的なシェアを取れるようなら、現在10%程度にすぎないグループ全体への利益貢献度が大きく上昇し、同社の利益体質が様変わりする可能性があります。
国内のメディア事業から生み出される多額のキャッシュを海外買収に振り向けることで成長することも考えられます。Indeedの買収は、現在のところその最大の成功事例と言えます。有利子負債を上回る現金を保有し、買収意欲はまだまだ旺盛です。
一方で、買収には大きなリスクも伴います。株式市場が高騰し、企業を買収するための金額も膨れ上がっています。高い価格で買収を行ってしまうと、数年後に「のれんの減損」という形で多額の損失を計上してしまう可能性もあります。
もっとも、財務状況には余裕があり、国内事業は堅調であるためそれだけで窮地に陥る可能性は低いと言えます。致命的でない損失により株価が大幅に値下がりした場合は、バリュー株投資家に取って買いの好機となる可能性があるのです。
IndeedのCMを見たら、泉里香にうっとりするだけではなく、リクルートの成長性にも思いを馳せてみてはいかがでしょうか。
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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2017年11月16日)
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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。