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出会って5秒で増税。安倍総理に「国民いじめ」をコミットさせた背後の力=斎藤満

タイミングが悪すぎる消費増税

前回2014年4月の消費税引き上げ(5%→8%)では、家計の負担増に相当する分を財政の追加補正で手当てして景気の悪化をふせごうとしたのですが、結果は消費増税で消費が大きく減少し、補正予算による景気下支えはほとんど機能しませんでした

きたる19年の引き上げ時には、よほど景気の地合いが良くなっているか、マイナスの影響をカバーするための大幅な追加補正が必要になるでしょう。しかし、追加補正の効果が切れれば景気は息切れします。これがオリンピックの反動と重なると、大幅な景気悪化になります。

配偶者控除の見直しによるステルス増税

次に大きな負担となるのが、配偶者控除の見直しという、目に見えにくい増税です。2018年からこれが実施される予定ですが、配偶者の仕事を制約している「103万円の壁」を崩し、これを150万に引き上げ、より多くの所得を得ても控除が得られるように配慮する一方で、本人分については、これまで所得に関係なく38万円の配偶者控除が得られたものが、今後は課税所得が900万円以上になると控除が漸減し、1000万円以上になると控除がなくなります

つまり、課税所得が900万円以上世帯にとっては増税になり、1000万円程度の労働者の場合、国税地方税合わせて40%程度の限界税率になるので、38万円の控除がなくなると、税負担が年間15万円程度増えることになります。

「高所得者の負担を増やす」はどこまで本当か?

また18年度の税制改革案では、基礎控除がこれまでの38万円から50万円に引き上げられる一方、サラリーマンの経費にあたる給与所得控除が削減される方針が示されました。

サラリーマンに適用される給与所得控除は、年収に応じて決まりますが、これまで年収162.5万円までが65万円、年収1000万円以上になると上限が220万円となっていました。

それが改正によって、年収800万円以上については上限が188万円に引き下げられ、それ以下の収入の人も、スライドして控除が減ります。

この結果、基礎控除の拡大と給与所得控除の削減を合わせると、年収の少ない人や会社勤めでないフリーランスの人にはやや減税となる一方、年収800万円以上の子供のいないサラリーマン世帯には増税となります。これは「高所得者の負担を増やす」となれば世論の反発も抑えられる、との読みだと思います。

ですが、この所得控除については、年金生活者の控除削減、増税の話も進んでいます。公的年金の収入には公的年金等控除が適用されていますが、年金以外に給与所得があったり、他の収入があったりする「高所得者」については、この年金控除が減額され、増税となる方向で検討が進んでいます。

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