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出会って5秒で増税。安倍総理に「国民いじめ」をコミットさせた背後の力=斎藤満

一度増税したら元には戻さぬ「森林環境税」

さらに、日本テレビによると、政府は森林整備に充てるため、2024年度から「森林環境税」を導入する方向で検討に入ったと言います。これは住民税に1人当たり500円程度上乗せして徴求するものとのことです。

復興特別税が終わる2023年度の翌年から、今度は森林環境税をとる。つまり、一度導入した増税制度は形を変えて続けようというのはいささか姑息に思えます。地域によって森林の有無も異なるので、不公平感が出る可能性もあるでしょう。

この他にも、国民年金保険料が毎年上がっています。今年度については月額16,490円ですが、昨年は16,260円、その前が15,590円となっています。来年はまた値上げになるのがほぼ確実となっています。これは税金ではありませんが、社会保険料負担は実質税金と同じで、この年々の値上げは増税と同じように、国民の懐を圧迫します。

大増税ラッシュの背後に米国の影

安倍政権の存立基盤は「米国」と「産業界」です。この2つがなければ安倍政権は成り立たないと言ってもよいでしょう。

このため、米国の要求には絶対服従を余儀なくされ、産業界のためにも、法人税減税や諸々の規制緩和特区などを駆使して最大限のサービスを施しています。そして、そのしわ寄せが国民に回ります。この批判を回避するために、企業が潤えば国民にも「おこぼれ」があるという「トリクル・ダウン」の考えが導入されました。

しかし結局、トリクル・ダウンはどこにもなく、国内では企業が空前の利益を上げて潤う反面、家計と労働者は実質賃金の減少、税引き後の可処分所得の減少で生活水準を下げざるを得なくなっています。労働分配率が大きく低下し、所得が労働者から企業に移転しているのは明らかです。

そこへ、米国のトランプ政権からとんでもない要求が突き付けられました。「アメリカ第一主義」を掲げて当選したトランプ大統領は、通商問題のみならず、外交・軍事問題でも各国に応分の負担を求め、米国の負担を軽減しようとしています。その一環として、各国に防衛費をGDPの2%に引き上げるよう求めているのですが、現在、防衛費がGDPの2%に達している国は極めて例外的です。

安倍総理がトランプ大統領を表敬訪問してすぐに、この防衛費負担の引き上げを求められたと言います。

現在、日本の防衛予算は5兆2500億円で、GDPの1%程度です。これを2%に引き上げるとなれば、あと5兆円余り増やす必要があるわけです。この「5兆円」が、まさに消費税引き上げ分の増収額5兆円に相当します。

Next: 消費税アレルギーの安倍総理を「転向」させたアメリカの圧力

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