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2018年の相場を予想しつつ「今年っぽいポートフォリオ」を考えてみた=田中徹郎

各種相場の流れと投資スタンス

<(1)株式>

先進国・新興国とも経済はおおむね順調に拡大を続けると思いますので、株価に対して僕は強気です。

ただしアメリカ株に関しては、すでに減税による効果(企業利益に対するインパクト=6~10%)を先食いしており、特に年の前半は現状程度、もしくはやや下げたところでボックス圏入りとみております。

逆に日本株はやや評価不足ではないでしょうか。現状の日経平均は2018年3月期予想ベースでPERが15倍台に過ぎず、仮に2019年3月期に10%増益が期待できるなら、株価が同時期の収益を織り込み始める夏以降、10%程度の上昇はあっていいと思います。その場合、例えば来年の今頃の日経225は26,000円です。

ただし日本株に関しては「円高要注意」ではないでしょうか。

アメリカの利上げ速度が想定を下回り、逆に日本のインフレ率が例えば年央1.2%程度まで上昇すればどうでしょう、その場合、年後半のいずれかの時点で黒田さん(もしくは次の総裁)は、金融引き締め(※注)に転じることになるでしょう。(※注:目標金利の引き上げ、国債やETF買い入れ額の抑制などですが、年明けすでにその傾向が出始めたようにも見えます。)

つまり、「アメリカの金融政策は緩め、日本の金融政策は引き締め方向」という組み合わせで、この場合ドル円は円高方向です。あえて言えば、一時的にではありますが、1ドル=100円を超えて円高が進む可能性もあると思います。

このような前提に立てば、上場企業全体でみた収益は悪化し、もしかしたら10%の増益ではなく、例えば2018年3月期並みにとどまるかもしれません。その可能性は30%程度あると僕は思います、

仮にこの想定のような円高→株安があるとすれば、それは今年の秋口から年末にかけてではないでしょうか、ちょっと気を付けておいてください。

新興国株にも強気です。繰り返しになりますが、アメリカの金融政策はハト派傾向で、利上げのピッチは想定を下回る可能性が十分あると思います。さらにアメリカの大規模減税は時間差で新興国の実体経済を持ち上げ、同地域の株は買われやすい状態が続くとみております。

<(2)商品相場>

一般的なシナリオでは原油相場の下は40ドル、上は70ドルだと思いますが、さきほど申しましたような中東リスク米国発のバブル懸念もあり、今年はどちらかといえば、上記レンジの上のほうでとどまる期間が長いと思います。したがって、40ドルに接近したところで買いを入れ、70ドル近辺で手放すという、小刻みな売買が有効ではないでしょうか。

銅やアルミなど非鉄金属に対しても引き続き強気です。最大の消費国である中国経済に対する減速懸念はありますが、環境規制から同国で生産が減る可能性が高いでしょう、さらに2番目の消費国であるアメリカの減税やインフラ整備政策の推進も、非鉄金属の需要を高めるでしょう。

貴金属相場も今年はおもしろそうです。儲かる・儲からないという問題以上に、パラジウムはどこまで上がるのか、プラチナとの価格差はどうなるのか…。このような興味からです。僕のような昔を知る人間にとって、パラジウムがプラチナを上回る状態は異常です。いったいこの異常事態はどのような形で終息するのか、それともこれが新常態として定着するのか…。いずれにしてもこのような変化の場面には、そうそう出くわすものではなく、大変良い勉強の素材になります。

もちろん両社の関係性に賭けてみるのも一興です、かつての旧常態に戻ると予想するならプラの買いとパラの売り、新常態が定着すると予想するなら逆です。需給の方向から想定し、僕は両者の価格差は目先さらに広がると思いますが…。EV(電気自動車)は増えるといっても台数は知れており、新興国ではまだまだガソリン車が主流です。ヨーロッパではEVへの傾斜が早く、ディーゼルエンジン車はますます影が薄くなるでしょう。

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