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2018年の相場を予想しつつ「今年っぽいポートフォリオ」を考えてみた=田中徹郎

<(3)中国経済>

お隣の中国はどうでしょう。確かに中国経済は減速中ですが、お利口な中国は、かつてのようにムチャなインフラ投資で経済を持ち上げることはなく、今年も年率(公称)6.5%程度の成長に収まるよう、うまく経済を制御してゆくことになるでしょう。

僕は最近、中国経済が(僕が以前予想していた崩壊もなく)順調に拡大を続けるというシナリオも持つようになりました。

いまのところ共産党という統治機構が思いのほかうまく機能しており、システムの劣化さえなければ、向こう十数年、場合によっては数十年も同党が目標とするガイドラインにそって、減速しながらも成長を続けるというのが僕の新しい想定です。

もちろん統治システムはいずれ劣化するもので、例外はありません。特に選挙を経ずに選別された統治機構など、さほど長持ちするとは思えません。

でも今の中国を見れば、例えばアメリカやヨーロッパ、日本など選挙を経た統治機構を保有する国々と比べ、必ずしも問題が大きいようには思えないのです。少なくとも向こう十数年、場合によっては数十年という時間軸で、システムの劣化を回避できる可能性が高そうです。

今年からそのような考えに立ち、相場予測やアドバイスの軌道修正を行おうと思っています。

<(4)今年の懸念事項>

ここまでお話ししてきましたように、僕は今年の世界経済に対して楽観しているのですが、それでも好事魔多し…どんな好環境であろうが、常に悪い想定は持っておくべきだと思います。

今年の悪い想定として筆頭に挙げておきたいのは、やはり昨年同様に中東や北朝鮮発の「地政学的リスク」です。

例えば、ISは制圧できたといわれておりますが、逆に潜在的なリスクが拡散しただけという見方もあります。昨年末もリビアで原油のパイプラインが爆破されたそうですが、この種のテロが中東のアチコチで起きる可能性はあるのではないでしょうか。この場合懸念されるのは原油価格の意外な上昇です。

次の懸念事項として「北朝鮮問題」も気になります。最悪の場合、米朝が戦争状態になった場合のことも、少しだけ頭に入れておきたいと思います。

アメリカの国際政治での孤立も少し気になります。エルサレムの首都認定問題や地球温暖化に関するパリ協定の離脱など、トランプさんの個人的な性向から来ている「揺らぎ」もあるのではないでしょうか、

たった1人の個性が世界を揺るがす…。あってはならないことが今年も起きようとしています。アメリカの政治的な孤立が、世界経済に悪影響を及ぼさなければいいのですが。

3つ目の懸念は「アメリカ発の経済バブル」です。本メルマガ前半でお話ししたように、来年就任予定のFRB次期議長は、おそらく利上げに対して消極派ではないかと思います。

イエレンさんの時代には、(すでに退任した)元副議長のフィッシャーさんという重鎮がいらっしゃいましたし、オバマ政権時代からのタカ派理事もいました。ですから、FRB全体で見るとうまくバランスがとれていたように思うのです。

2月に発足する新体制下では、新任の議長、新任(される予定)の副議長も含め、ハト派に偏りすぎている気がいたします。適切なタイミングで利上げを実行できない場合、短期的には経済にとってプラスでも、あとで振り返れば「あの時がバブルの起点だったな」とならないとも限りません。

株にしても不動産にしても、現状ではバブル状態ではないと思いますが、今年はもしかしたらバブルの芽がアチコチで育ち始める可能性はあると思います。

原油や貴金属、非鉄金属、穀物など、国際商品市場で、実需による均衡相場を超えた高騰が、年内のどこかで始まってしまう可能性もあると思います。

Next: 各種相場の流れと投資スタンス~先進国・新興国ともに順調に拡大か

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