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2018年の相場を予想しつつ「今年っぽいポートフォリオ」を考えてみた=田中徹郎

2018年型推奨ポートフォリオ

ここまでお話ししてきたような見通しに立つなら、2018年型ポートフォリオ

  • やや積極性を高める
  • 一方で地政学的リスクへ備える
  • 長期的にみた現物資産の組み込みを計画的に考える
  • 日本の金融政策の変更へ備える

という考えに基づいて必要最小限の組み換えを行う、というスタンスでいいと思います。

具体的には、下記などです。

  • 日本株を中心に、新興国株や先進国株など、株式のウエイトをやや高める
  • 債券価格の下落(金利の上昇)に備え、債券の保有は抑制方向
  • 商品相場は原油や非鉄金属を、タイミングを見ながら売り買いもあってよい
  • ヘッジファンドはボラティリティ戦略や裁定取引型へ徐々にシフト
  • 不動産、コイン、貴金属、カラーストーンなど現物資産への組み込みの検討

以下は推奨ポートフォリオですが、毎年申し上げていますように、これは1つのサンプルで、実際にはおひとりおひとりの経済状況やライフプランによって異なります。あくまで、1つの投資のヒントとしてご活用ください。

<2018年型ポートフォリオ(サンプル)>

・先進国株(20%)
1. 日本株ETF
2. 欧州株(ドイツや北欧株)ETF
3. 世界先進国株ETF

・新興国株(15%)
1. ASEAN株ファンド
2. インド株ETF
3. 世界新興国分散ETF

・コモディティ関連資産(15%)
1. 非鉄金属ETF
2. 貴金属ETF
3. MLP

・債券(0%)

・不動産系資産(30%)
1. 日本不動産現物
2. ヨーロッパ現物不動産

・オルタナティブ(20%)
1. クラシック・コイン(中国、ヨーロッパ各国、アジア)
2. カラーストーン(非加熱ルビー、非加熱サファイア、スピネル、ヒスイ)
3. ヘッジファンド(裁定取引型、ボラティリティ運用型)

今年は株やコモディティなど、サイクル性資産のウエイトを50%とし、昨年に対し10%上げました。内訳は株を30%から35%に上げ、コモディティも10%から15%に引き上げました。

先進国の株を20%で維持したのは、アメリカ株に少し過熱感が見られるからです。

これに対し新興国株のウエイトは昨年に比べ5%あげ、15%といたしました。今年の新興国経済に対する明るい見通しや、アメリカの利上げが緩やかなものにとどまるとの予想からです。

内訳は先進国株の筆頭が日本株です、昨年ずいぶん上昇しましたが、企業業績との見合いでまだ評価不足感が残っているとみています、ただし本稿前半でお話ししたように、年後半あたり日銀の政策変更の可能性があります、そのあたりをふまえ、年央あたりに一度レビューし、持ち高を機動的に見直すべきなのかもしれません。

日本株以外ではヨーロッパ株を次点に挙げさせていただきました。政治的な不安定さやテロのリスクもありますが、ECBの金融政策がうまく機能しているようで、経済自体は順調に回復中です、そのあたりへの期待からです。

新興国株では筆頭にASEAN株、次点がインド株です。アメリカの金融政策が予想の範囲に収まるなら、割安感が残るこの地域の株価は期待できるでしょう。

コモディティでは筆頭に非鉄金属を挙げさせていただきました、銅やアルミはすでに高値圏にありますが、アメリカの金融政策次第で、一時的にバブル状態になる可能性は十分あると思います。投資されるなら目標上限を決め、あまり欲をかかないようにお願いいたします。

貴金属もいいと思いますよ、世界経済が順調なら貴金属は売られることが多いですが、ペーパーマネーバブルが起きれば、話は変わってきます。保険として持ち高を増やしてみてはいかがでしょう。

非サイクル資産(現物系資産およびオルタナティブ)も昨年同様50%の配分です。なお金利上昇(債券安)を予想し、今年は債券への投資を見合わせます。

非サイクル資産の内訳は不動産が30%で、オルタナティブが20%です。これは昨年と変わりませんが、中身は少しいじりました。

アメリカ不動産にやや過熱感が出てきたことから今年は外し、次点にヨーロッパの不動産を挙げさせていただきました、イギリスは地域によってバブルが見えますが、適正相場を維持している地域や国もあります。少し面倒な部分もありますが、今年はギリシャやポルトガルの不動産など少し研究したいと思っています。

筆頭は昨年に続き国内の現物不動産です。バブルではないかとのご質問もよく受けますが、本当のバブルはこんなものじゃあありません、東京中心地のワンルーム物件ですら、収益率がネットで4%を上回る現況は、どう考えても適正相場といってよいでしょう。

最後はオルタナティブです、ヘッジファンドは昨年同様中期のトレンド・フォロー型ファンドから、裁定取引型やボラティリティから収益を挙げるタイプのファンドへ、徐々にスイッチを促してまいりたいと思います。

そのほか現物資産では、僕の好きなクラシック・コインジュエリーなど引き続き推奨いたします。

昨年「おあり系コイン商」のあおりで、ホンの一部のコイン、例えば現代エリザベス2世の5ポンド金貨や、同ジョージ5世、同ジョージ6世の5ポンド金貨、最近ではイギリスの試鋳クラウンなどが驚くほど値を上げました。が、早くもイギリスの5ポンドをはじめ急速に下げつつあります。化けの皮がはがれたといったところでしょう。

今年も昨年同様、このような「あおり系コイン商」の商材になる領域を避け、賢明な投資を皆さんに推奨したいと思います。例えば、ヨーロッパ近代の金貨・銀貨。ここのところより希少性が高く、状態の良いコインが値を上げつつありますが、今後もこの傾向は強まるでしょう。「今高い」ことは、価格上昇の必要条件ではありません。中国コインにも注目しています。そのこころは「中国人の好む資産を先回りして買え」です。ここでも希少性の高いコイン、状態の飛び切りよいコインはねらい目でしょう。

同様のことがジュエリー、特にカラーストーンにも当てはまります、ヒスイは現地ミャンマーでもめっきり見なくなりましたが、歴史的に中国人はヒスイを好んできました。あるいは彼らが好む「赤い色」をした石…非加熱かつミャンマー産が絶対条件ですが、ルビースピネルもいい投資になるでしょう。

例年、高い精度で予想できている

長い長い僕のお話しもこれでお終いです。もし最後までお読みいただいた方がいらっしゃったら、本当にありがとうございました。さぞお疲れになったのではないでしょうか。書いている僕もけっこう疲れました、でも書き上げたといいう達成感はあります!

例年、この年頭のメルマガは、自分で言うのもナンですが、高い精度で予想できていると思います。昨年は銀の予想を外してしまいましたが、株や為替、ヘッジファンド、コモディティなどほぼすべての予想を、その理由も含め言い当てられたと思います。もし本当にお暇な方がいて、昨年の本予想を見ていただけるなら、おわかりいただけると思います。

では、今回はこのへんで。今年も皆さんにとって素晴らしい1年になることをお祈りしております。

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一緒に歩もう!小富豪への道』(2018年1月11日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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