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黒田続投というマンネリを世界は許すのか? 変化するFRBと取り残される日銀=近藤駿介

「株価は割安」に潜む罠

忘れてはならないことは、2018年は18営業日のうち11回史上最高値を更新するというようなロケットスタートを切っており、「株価が割安」になる前に株式に投資してしまった投資家が例年以上に多い状況にあるということだ。

「株価は割安」だということを強調しているアナリストも多いようだが、3日に任期を終えたイエレン前FRB議長はインタビューの中で、ここ数か月の米国株について「高過ぎるとは言わないが、高いとは思う」と述べ、アナリストとは異なる見解を示している。

「割安な株価」が上昇トレンドを形成するためには、それが新規資金を呼び込む時である。つまり「割安な株価」は上昇トレンド形成のための必要条件だが十分条件ではないということである。

タカ派寄りになるFOMC

米国株式市場が変調を来した要因と言われているのが、長期金利所急上昇である。経験からいうと、今の米国長期金利の上昇はとても「急上昇」というほどではないと思う。しかし、「景気は回復傾向」「企業業績は好調」「株価は割安」と株式市場内に下落要因が見つけられない株式市場関係者が「金利上昇」にその要因を求めたとしても不思議なことではない。

株価調整の原因が「金利」に求められたこともあり、FRBメンバーからも様々な発言が出て来ている。

FOMCで常に投票権を持ち「中立派」といわれているNY連銀のダドリー総裁は8日のインタビューで「利回り上昇に伴い株式市場への圧力が若干強まってきている」ことを認めつつも「株価の下落は取るに足らないことだ(Small Potatoes)」だと発言し、年内3回の利上げバランスシート縮小プログラムの実行を現時点で見直す考えがないことを示した。

これに対して「ハト派」の代表格でもあるミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は「賃金とインフレが上昇し始めるまでFRBは利上げするべきでない。米経済はそうした状況から程遠い」と発言し、利上げに慎重な姿勢を見せた。

また「タカ派寄り」とされるダラス連銀のカプラン総裁は「若干のボラティリティの高まりは健全だといえる」としたうえで、現時点では「ボラティリティの上昇が金融条件の引き締まりや景気に波及しないと楽観視している」というコメントを出している。

「ハト派」の代表格であるイエレンFRB議長が退任したうえ、「ハト派」といわれる地区連銀総裁が投票権を失うこともあり、2018年のFOMC投票メンバーの構成は「タカ派寄り」になると思われている。

FOMC投票メンバーの顔触れが「タカ派寄り」になるなかで、本来法律の専門家でエコノミストではないパウエル新FRB議長がFOMCメンバーの意見集約を図れるかが今後の焦点でもある。

Next: 「低金利主義者」のトランプが障害に? 試されるパウエル新FRB議長の手腕

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