日経平均の安値目処は1万8,000円か
ところで、私は先週19日午前に収録した「動画」においては、「安倍政権の危機」「米朝問題」の2つのうちのどちらかがあれば、あるいは同時に起きれば安値の目途はどこかということを「敢えて言えば」ということで、次のような一見極論を述べた。
リーマンショックのときにはPBRは1倍だったし、民主党時代の政治不作為時代の安値もPBRは1倍だったし、一昨年6月のBREXITの時(壮年期大天井からの半値押し6,000円下げのとき)も1倍だった。そうすると長期的な動向から見てPBRの1倍というのは一応の最下限の目途である。
ということは225銘柄全部が平均して解散価値に等しくなってしまったということであり、事業活動を一切やめて会社を解散して借入金を返済して残った純資産を株主に分配するとして、その数値に等しいということであるから、PBRが1倍ということ自体が事業体としては、本来異常なのである。ゆえに、この「異常値」のPBR1倍を最下限の1つの目途にする。そうすると今の数値で言うと1万8,000円のレベルになる。また、PER10倍とすれば約1万7,000円となる。
それ以下の数値は先進国としては「異常中の異常」であってまずあり得ないと見れば、最悪の場合でもその辺が下値の限界ではなかろうか、という意味のことを述べた。
【図1】PBRの1倍水準は、リーマンショック時でも下値の支えとなった、絶好の買いの好機に
【図2】PERは相場状況により異なり、信頼性に欠ける。ただ2012年の最悪期でも10倍が下限に
同志社大学院教授浜矩子氏が言ったような「日経平均1万円」とか、若林栄四氏がもっぱら黄金分割のペンタゴン理論で説くNYダウ6,000円説とか、江守哲氏(住友商事出身)が説く『1ドル65円、日経平均9,000円時代の到来』(ビジネス社、2016年刊)などというような極論はいくらでもあるし、それらを一応読んでみるともっともだと思える点もないことはない。
しかし、筆者は市場にどんなパニックが起こっても、底流には必ず「採算点」「論理的思考」というものが厳存するものだと思っている。
【図3】「市場は常に変化する」との投資姿勢で、17000~19500円の価格帯で、常に変化する市場の動向を見極めながら、買いの好機を狙いたい
【図4】3月23日現在のPBR1倍は17928円
セリング・クライマックスの台風一過、ヒトは必ず「採算点」「論理的思考」に目覚める。市場は時には上にも下にも狂奔するが、根はバカではない。