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リーマンショック直前に似てきた債券市場。米中貿易戦争は何をもたらすか?=近藤駿介

FRBがイールドカーブの変化に警戒

30年国債と10年国債の利回り格差がここまで縮まったのは、21世紀に入ってからリーマンショック前の2006年から2007年にかけての期間以来のことである。

またこの時には10年国債と2年国債のイールドスプレッドも0%前後と、極めて低い水準で推移していた。

この期間の極端なイールドカーブのフラットニング化がリーマンショックを引き起こした経験からしても、FRBが資産インフレ、バブルを発生させてしまう可能性を秘めている極端なイールドカーブのフラットニング化に懸念を抱くのも当然のことだといえる。

リーマンショックの再来なのか

リーマンショックを引き起こす要因ともなったイールドカーブの極端なフラットニング化が起きた2006年から2007年にかけては、金利水準は4%代後半と足元の3%弱の水準に比較して高かった。

つまり、金利の水準よりもイールドカーブの過度なフラットニング化が資産バブルを起こす要因として強いといえる。

そして足元イールドカーブがリーマンショック前と同様に過度のフラットニング化傾向を見せる中で、米国の住宅価格指数はリーマンショック前の水準を10%程度上回って来ている。

このままイールドカーブの過度なフラットニング化が続けば、FRBは何かしらの手を打ってくるはずである。

FRBはどう出る?

過去の3回のQE(量的緩和)によって、FRBは多額の国債とモーゲージ債を保有している。したがって、FRBがその気にさえなれば、保有している債券を売却することでイールドカーブをスティープ化させることは物理的に可能な状況にある。

FRBが保有債券を市場で売却するという手段をとった際の市場への影響は未知数であり、極めてリスクの高い政策ではある。

しかし、イエレン元議長が将来のFRBのポートフォリオは国債が中心であることが望ましいという発言をしていたことを考えると、モーゲージ債の売却は可能性のある選択肢の一つだといえる。

株式市場はEUとの貿易戦争において妥協が図られる可能性が出て来たことを好感しているが、債券市場でFRBと市場の戦争が始まっていることは頭に入れておくべきである。FRBの行動次第ではリスク資産に直接影響が及ぶ可能性が高いからである。

Next: 最も魅力的な市場は、依然として米国市場。2018年後半の戦略は?

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