延期を決めるに至った「3つの疑念」は解決したのか?
小池都知事が2016年11月4日定例会見でも述べていますが、豊洲移転延期を決めることになった3つの疑問「安全性への懸念」「巨額でかつ不透明な費用の増加」「情報公開の不足が解消されていない」を挙げていました。
当然、延期にかかった費用は、問われれば答えるのが筋というものですね。
普通に考えても業者などへの移転支援や、築地・豊洲両市場の警備・清掃の委託料、光熱水費、移転延期に伴う業者への補償費用などがかかっているはずです。
1つの例を出しますと、豊洲市場の維持管理費用は1日で700万円だと言われています。それを2016年11月4日定例会見で小池都知事は、500万円に削減したことを強調しています。
だとすると、延期による使われていない豊洲市場の維持費は「500万×700日」で35億円になります。延期しなければ必要ない費用という性質のものです。
築地市場の解体費用も、年を追うごとに上がっているはずです。
振り回されてきた築地で働く人たち
2016年11月4日都知事定例会見で次のようにも語っています。
「一方で大変重要な点がございますが、これは市場関係者に対しましての補償のスキームでございます。豊洲市場への移転の延期に伴いまして、市場業者の皆さま方、大変ご苦労されておられます。そして導入が済んでしまった設備のリース料の支払いであるとか、さまざまな契約の内容が変更していると、それによって違約金などが発生しているわけでございます。その影響によって大変資金繰りに困っておられるといった方々、さまざまなご不安を抱きながら将来どうなるのかと、大変、気をもんでおられるっていうことは重々承知をしているところでございます」
この部分の話は大きな問題です。
築地市場は手狭なことから、市場外に保管倉庫や冷蔵庫をかかえている業者の方も多くおられます。
都は業者保証として90億円の予算を見込んでいると聞いていますが、これらは築地市場内での保証であって、市場外に関する保証はしないのではとも言われています。
築地に働く人たちは、前述の通り、都の方針に振り回されてきました。
今回も「またか」という感じだったのではないでしょうか…。
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