最高学府を出ても「就職しないと生きていけない」
かつてダブルスクールが流行り、在学中に専門学校に通って公的資格を取得する人も数多くいました。私もその一人でした。
しかし現在、司法試験や公認会計士試験を突破しても就職先がない人も多いそうです。
「大学は就職予備校ではない」という批判がありますが、ならば就職ではなく自らビジネスを立ち上げられる人材を養成できるのかというと、それもできない。
膨大な学費と時間を費やして最高学府まで進学したにももかかわらず、卒業後はどこかに就職しなければ生きていけない。会社に雇われなければ生きていけない。そんな教育に疑問を感じずにはいられません。
21歳にもなって誰かの傘の下に入らなければ生活が立ち行かない(つまり自立できない)教育とは、いったい何なのか。
そう考えた時、今の日本の学校教育、そして大学進学は、それほど重要なパス(道)なのか、という疑問が湧いてきます。
未来への選択肢を広げられる教育をしたい
私はサラリーマンも起業家も両方経験しているため、自分で事業をすることの素晴らしさを実感していますし、起業家が増えることは国の活力にもなると思っています。
だから子どもには、両方の選択肢があることを知ってもらいたい。どちらを選ぶかは子ども自身の判断に任せるとしても、やはり未来への選択肢を広げられる教育をしたいと考えています。
近現代史を学ばなければ海外で赤っ恥をかく
自分自身の学校教育を振り返った時、いまの学校教育には様々な不備があることに気がつきます。
たとえば歴史。今を生きる私たちにとって重要なのは、近現代史であり、他国との関係です。
海外、特にアジア圏に行くと、日本との関係を知らないと、認識が噛み合わない場面に遭遇します。
そして現地の人たちと議論すると、日本人としてのアイデンティや他国との関係を改めて考えざるを得ない場面にも直面します。
たとえば数年前にインドで産業交流会に参加したとき、政府の役人から「私たちは日本が好きだ」と言われました。そして、「インパール作戦を知っているか?」というのです。
補給を軽視した、日本軍最大の愚策として名高いインパール作戦ですが、そこで日本軍はインド軍と一緒にイギリス軍と戦い、それがインド独立のきっかけになりました。そのためインド人の、特に年配の人には日本に感謝している人が少なくないのです。
ほかの参加者は私よりも年齢が若かったからなのか、インパール作戦すら知らないという人が少なくなかったようで、みなキョトンとしていました。
この認識の差は、親日国インドとの関係を深めるうえではあまり良いことではないように思います。