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この先も給料は増えない…。絶望する日本人をさらに泣かせる「労働分配率の低下」=斎藤満

所得の増加期待が後退

昭和40年代から50年代前半くらいまでは、労働者の間に将来所得の確実な増加期待がありました。少なくとも名目所得は年々増えていたので、借金をして車や家を買っても、何年かすれば給料が増えて借金は楽になるとの安心感がありました。

ところが、その後為替が円高になり、国際競争力の維持から企業は人件費の抑制に注力するようになり、ベアが後退しました。

さらに、その後は人件費の「変動費化」が進み、正社員からパートなど非正規労働者にシフトし、学卒から中途採用へのシフトも進み、旧来からの「年功賃金制」が崩れました

これも、将来の所得増加期待を奪い、同時に従来心配なかったジョブ・セキュリティも脅かされることになりました。首にならずとも、窓際や子会社への配属で、実質賃下げもなされるようになりました。

利子所得も消滅

賃金以外の収入でも、かつては年間30兆円以上あった「利子所得」が90年代以降急速に縮小し、近年ではマイナス金利、長期金利のゼロ金利設定などで、金利収入がほぼ消滅しました。

1800兆円余りの個人金融資産の半分余りは預貯金ですが、その金利が定期でも0.01%、普通預貯金では0.001%に、そこから20%の税金がひかれるので、一般家庭では利子所得ではコーヒー1杯を飲むこともできなくなりました。

年金所得の実質減少

退職した後も、年金収入が「マクロ・スライド」などにより、実質減少しやすくなります。

全体の3分の1以上の世帯が年金受給世帯となりましたが、インフレになっても、物価スライドでカバーされず、年金は物価上昇で実質減少する仕組みとなりました。

その年金制度が行き詰まりとなるために、受給年齢の引き上げや、年金支払額の削減などが検討されています。

これから年金受給者となる人にとっては不安が高まり、年金で暮らす世帯にとっては、将来の所得が確実に減ることがわかっているだけに、「長生きリスク」に備えた「倹約」が必要になり、消費が抑制されます。しかも、社会保険料負担が年々増加し、医療費の負担割合も高まる方向となっています。

世帯主の年齢が50代の世帯で無貯蓄世帯が3割あるといいます。貯蓄がなく、年金がじり貧で、社会保険料負担、医療費負担が高まる一方では、消費の拡大に期待するほうが無理というものです。

Next: 企業任せでは当然、人件費を抑えまくる。政治的介入が必要だが日本は…

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