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5Gの世界で日本企業は生き残れるのか? 産業構造の大変革で投資すべき分野とは=田中徹郎

産業構造が大きく変わる

同時につながる端末の数も比べ物になりません。4Gでは同時に接続できる相手先はせいぜい数台ほどでしたが、5Gでは1部屋に換算して100台ほどの端末と同時に接続できるそうです。

これは例えば、工場内といった比較的狭い空間の中での通信に効力を発揮しそうです。すでに最先端の工場では、ロボットが組み立てから梱包、搬送まで行うようになりましたが、無数にあるすべてのロボットが5G回線に接続されるならどうでしょう。

例えば、「組み立てロボット」が使用する部品は、ネットを介してタイムリーに「搬送ロボット」によって供給されるようになるでしょう。

そしてその「搬送ロボット」はネットを通して外部の部品会社に部品の注文を行い、それが自動運転される車(まさに自動車)によって運ばれて「搬送ロボット」に渡される。

つまり、5G通信によって、すべての工場は完全自動化でき、さらに工場間の製品や部品の配送も、ネットに接続された車(=コネクテッド・カー)によって、自動で行われることになると思います。

人件費の安いところで生産する必要はない

こうなってくると、工場は人件費の安い新興国に置く必要はありません

フル自動化によって多品種かつ少量の生産ができますので、できるだけ消費地に近いところに工場を作り、注文→製造→配送の間にかかる時間を最短化する戦略が求められることになるでしょう。

これはほんの一例で、5Gは4Gと比べられないほどの影響を、私たちの生活に与えるに違いありません。

そしてその影響は、例えばスマホ(別の呼び方になっているでしょうが)のような日常使いの世界にとどまらず、産業や経済のあり方まで一変させるインパクトをもっていると僕は思います。

いま経済の世界では、例えば米中間の貿易戦争や、日米間の通商交渉の行方など、不安要因ばかりに目が行っていますが、私たちはその先にも目を向けておく必要があると思います。

Next: 5G後の世界では日本メーカーが苦戦する? 投資家が準備すべきこと

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