5G後の世界では日本メーカーが苦戦する?
特に株式投資という観点で、5Gによって成長する領域はどこなのでしょう。
まず、自動車・ロボット・家電などの完成品メーカーが、良い立ち位置にいることは間違いないと思います。ただし、投資に値するかどうかという観点で見れば、少し違うような気がします。
例えば、自動車です。トヨタやスバルなど自動運転技術で先端を行く会社はありますが、この分野は異業種の参入が顕著です。グーグルは既にこの分野で圧倒的なデータを蓄積しています。5G時代の「つながる車」は、一種のデータ産業の色彩が濃く、ここまで蓄積してきた自動運転データとその処理がものを言います。
ですから、メカに軸足を置いてきたトヨタや日産が、5G時代にも現在のポジションを維持できるとは言い切れません。
「つながる家電」分野はもっと厳しそうです。例えば、スマートスピーカーを中心に据えた家電ネットワークの構築で、すでに日本勢は数歩出遅れてしまっているようにも見えます。
かろうじてロボットは安川電機やファナックなどが頑張っていますが、これもいつまで続くかわかりません。デンマークには強いロボットメーカーがいますし、「中国製造2025」を掲げ、国を挙げてロボット産業を育成する中国もあなどれません。
残念ながら日本メーカーは最終製品分野において、5G時代で主役になるのは難しいのではないでしょうか。
光が差す分野もある
一方で、電子部品や半導体などデバイスの分野はどうでしょう。
例えば、「つながる車」の目となるセンサーや、その目から入ってくるデータをリアルタイムで処理する車載半導体、先日ルレサスが買収を発表したIDT社が持つワイヤレス充電の技術、ロボットのキーパーツである減速機や超小型のモーターなどです。
このような分野は5Gのキーデバイスでもありますし、日本の完成品メーカーが衰退傾向を続ける一方で、デバイスメーカーは高い競争力を維持してきました。
ここで具体的な銘柄に触れることは控えさせていただきますが、このようなキーデバイスを作るメーカーの中から、数年後の出世株が出てくる可能性が極めて高いと僕は思います。
『一緒に歩もう!小富豪への道』(2018年9月12日・19日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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