日本株のトレンドを決める3つの外部要因
ところで中長期的に日本株の将来を考えると、基本になることは何と言っても企業価値そのものである。これが株価構成の根本要素であることには常に間違いはないが、それは「レベルの問題」であって、本稿で常に言うところのトレンドを決めるものは、むしろ外部要因である。
その外部要因で大きいものは、以下の3つに大別できるであろう。
- 米中貿易摩擦が生む世界経済の縮小
- 米国経済そのもの
- 新興国の債務超過
外部要因その1:米中貿易摩擦が生む世界経済の縮小
関税引き上げが直接的に米・中・日の経済成長率に与える影響は、追加関税によって増えた税収を債務返済に充てるのか、財政支出に充てるのか、財政出動に充てるのかによってかなり違ってくる。
財政出動がなかった場合は、米国は0.29%のマイナス影響(本稿で言うところのブーメラン現象)があり、財政出動があった場合には米国は貿易摩擦の影響はゼロとなる(この予測は大和総研の試算による)。
「貿易戦争がこれで打ち止めならば、経済に与えるマイナス影響の底は見えてきた。あとはトランプ政権が財政政策にどこまで踏み切れるか、それによって米国経済の好調が保てるかが決まってくる」(大和総研より)。
外部要因その2:米国経済そのものの問題
米国景気がこのまま続けば、来年7月には120ヶ月という史上最高記録を超えて史上最長を更新する。黄金の60年と言われたケネディ大統領前後の頃、ケネディ大統領の後108ヶ月の長期景気、最長はITバブルの120ヶ月、これを来年7月には全部超えて史上最高となる。
およそ史上最長とか何十年ぶりとかいうことが現れた場合には、用心するに越したことはない。しかし、そういう時に限り、それはなお続くという合理的に見える意見が出回るものだ。
現に120ヶ月続いたITバブル景気の時も「ニューエコノミー」という言葉が流行り、これからはネットで交易できるから物流が極めて合理的になり、今までの経済と違ったものになる。ニューエコノミー時代が来るという理論が、筆者が述べるよりももっともっと理路整然と説得力をもって流行ったものだ。
概ね、そういう時に全てのつじつまがあった時に反対現象が起きると思って警戒感が必要であろう。