スズキのインド市場における売上高は1.3兆円と、日本国内の1兆円を凌駕します。全売上高の比率でもインドが4割。そんなスズキにとってのドル箱は今後も安泰でしょうか?(『億の近道』ぢんぢ部長)
人気無料メルマガ『億の近道』編集長。本職は、インドと日本のビジネスブリッジが中心。インド国内に強力な人脈を持ち、インド進出のバックアップを行う。
首位独走のスズキに死角?テスラ、TATAほか競合が動き出した…
電子決済が広く普及、変わりゆくインドとインド国民
久しぶりにインドについて書きます。調べてみると、何と約6年ぶりのコラムです。前回のコラムでは、インドのTATA財閥トップ交代について書いていました。あれから6年、インドも大きく変わりました。
現在では、「Make in India」「Invest India」など、多くのスローガンを掲げて経済成長と産業振興を力強く進めており、それとともにインド国民の生活も大きく変わりつつあります。
日本では、消費増税に関して電子決済での優遇案が出ているようですが、インドではロードサイドの小さな商店にまで電子決済が浸透しつつあり、小規模商店での普及は、はるかに日本を上回っています。この分野では、インドに対して日本は非常に遅れている印象です。
国力は「自動車産業」に現れる
さて私は、インドの経済成長や変化を話す例示として、よく自動車産業を利用します。
自動車製造は、原材料から部品調達、設計や製造や品質管理、販売など、総合力が必要な産業ですから、国力と経済力を考えるのに非常に分かりやすいと思っているからです。
ご存じのとおり、インドではスズキがトップシェアを長い間堅持しており、その存在感はかなりのものです。50%近くの圧倒的シェアを誇ります。
2位は韓国のヒュンダイ、3位は国産車のマヒンドラとなっています(BMW、アウディ、メルセデス、ジャガー、ランドローバーなどのプレミアムカーを除いた数字)。
<インドの自動車シェア]2017~2018年>
1. スズキ 49.98%
2. ヒュンダイ 16.30%
3. マヒンドラ 7.56%
4. タタ 6.39%
5. ホンダ 5.17%
6. トヨタ 4.27%
7. ルノー 3.10%
8. フォード 2.73%
(以下、フィアット、日産、VW、スコダ、GMなど)
現地でヒアリングしても、スズキの強さは皆一様に認めていて、近い将来、スズキ単独で500万台はもう合意を得ているようです。さらに高級ブランドNEXAを展開し、こちらも絶好調とか。ロードサイドに広告が目立ちます。とにかく作れば売れるという状態だと聞いています。
世界の王者トヨタは苦戦していて、先のスズキとの提携で生産協力が進んでいるとのうわさもあります。
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