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不正投票も再集計騒ぎも根絶へ。ブロックチェーンによる選挙革命が始まっている=高島康司

<問題点その2:投開票に時間がかかる>

しかし、ブロックチェーン適用の問題はこれだけではない。書き込み速度の問題がある。

いまビットコインのような仮想通貨では、送金などのデータが分散台帳に書き込まれるためには相当に時間がかかる。数日から、場合によっては数週間もかかることもある。

このようなブロックチェーンを投票に導入すると、深刻な問題が発生する。たとえば、国政レベルの選挙では数千万単位の投票結果がブロックチェーンに書き込まなければならないので、相当に時間がかかってしまう可能性が出てくる。選挙の結果が出てくるのは1カ月先だというのではまったく使えない。

投票にブロックチェーンのシステムを導入するのであれば、投票結果を高速で処理できるように設計された特別なブロックチェーンと分散台帳が必要になる。

すでに稼働しているプロジェクトも

このような問題を抱えた投票用ブロックチェーンのシステムだが、将来の可能性を見据え、すでに稼働している実験的なプロジェクトがいくつか存在する。まずそれを紹介しよう。

<シエラレオネの大統領選挙の実験>

今年の3月7日、西アフリカの西部にあるシエラレオネ共和国では、大統領選挙の当日、ブロックチェーンの活用可能性を調査するための実証実験が行われた。ブロックチェーンによる選挙サービスの提供を目指している会社、「アゴラ(Agora)」が、国際的選挙監視の一環として実施した実験で、ブロックチェーンによる投票の集計が可能であることを示した

これは実際の選挙ではなく実証実験にすぎないものの、選挙ではブロックチェーンが使用可能であることを示した。

<ブラジル政府のプロジェクト>

今年の1月、ブラジル政府は将来の選挙にブロックチェーンによる投票システムの導入を検討していることを明らかにした。使われるブロックチェーンは、イーサリアムである。

1億9,000万人の人口を有するブラジルでは、18歳から70歳までの成人には投票義務があり、これに違反すると日本円で約1,100円の罰金が課せられる。しかし、ブラジルの国土は広大なので、分散した人口を投票所に集めるめには、大規模な人口移動が必要になる。これは、大きな混乱の原因にもなる。

これを回避するためにブラジル政府は、有権者登録と投票をオンラインで行い、集計結果をイーサリアムのブロックチェーンに記録する計画だ。分散台帳へは、1日の投票結果をひとつのデータブロックにまとめて記録するという。

どのようにして秘密投票の原則が守られるのかは明らかにされていないが、今後数年のうちの導入を検討しているという。

<ナスダックのプロジェクト>

米株式取引所大手のひとつ、ナスダックは、今年の1月に南アフリカの株主が株主総会で投票するためのシステムをブロックチェーンで構築した。今後、同様の投票システムを拡大するとしている。

Next: 実証実験では成功。最新の選挙とプロックチェーンを繋ぐプロジェクトは?

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