たとえ日銀緩和がなくとも――敬意を払うべき麻生発言
こうした状況の中、先週(10/18付)の当メールマガジンでは、「敬意を払うべき麻生発言」とのタイトルで、「麻生財務相は、10/16(金)に放映されたNHKのインタビューで、『多分、日銀の方も今すぐさらに金融緩和というのではない』と述べました。また追加緩和について『今、お金は余っており、むしろ需要が足りない』と、追加緩和しても効果がないのでは、と示唆しました」と紹介しました。
麻生財務相は、加えて、10/23(金)の閣議後の会見で、「金融政策でやれる範囲は限られている」と繰り返しています。
こうした種々の動きを合わせて考えると、どう考えても10/30(金)の日銀の金融政策決定会合では追加緩和があるとは見込みにくいのですが、それでも緩和だ緩和だと、叫ぶ向きは後を絶たないようです。
金融政策という面では、中国が10/23(金)の日本時間夜に利下げと預金準備率の引き下げを発表しました。もし市場が、この金融緩和が中国経済を支える効果が大きいと考えているのであれば、原油価格が上がりそうなものですが、実際にはWTI原油先物は、1バレル45ドル台から44ドル台に軟化しています。
つまり、世界市場が、中国の金融緩和を好材料として手放しで好感している、ということではなく、これでも中国経済自体はまだ悪化が止まらないのではないか、との懸念がぬぐえていないことが表れていると言えるでしょう。
この点でも、先週は、「世界緩和バンザイ」相場では全くなかった、と推察されます。
日銀会合後の「失望売り」をチャンスにするか、狼狽するかの分かれ道
今週(10/26~10/30)は、まず10/27(火)~10/28(水)に、FOMC(米連邦公開市場委員会)が開催されます。今月上旬に発表された雇用統計が弱かったため、今週利上げを強行するには説得力が弱く、連銀としては12月まで待って、雇用統計の数値が回復することをもって、利上げを行なう方針だと見込まれます。
10/30(金)の日銀の金融政策決定会合では、従来から当メールマガジンで主張し続けている通り、追加緩和はないものと見込まれます。
それが極めて短期的には、国内株価や円相場の波乱を起こすことはあるでしょうが、前ページで解説したように、現在の世界市場が緩和期待だけで動いているわけではなく、日米の企業収益が予想よりは良い、という点が大きな要因となっていますので、追加緩和の見送りが、国内株価や円相場の基調を覆す、という展開にはならないでしょう。
今週は、米国の決算発表がまだ残っており、日本では発表が本格化します。そうした企業収益の底固さを慎重に確認しつつ、先週の株価上昇の反動なども交えて一本調子ではないでしょうが、日米等主要国の株価は二進一退の上昇を持続するものと予想しています――
好評配信中の『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』10月25日号では、この続きとして、より詳細な今週のマーケット展望を掲載。米FOMCや日銀会合を控えたいま投資家が押さえておきたいポイントを重点的に取り上げています。
「日銀緩和の有無」だけを煽る専門家に注意を
「量的緩和による株高」は幻想だ(緩和なしでも株高基調は変わらない)
「日銀の追加緩和がなかった」あとの正しい投資行動とは?
一本調子ではないものの、明るい方向を目指す相場
既に米国のベースマネーは対前年で減少しているが、何も起こっていない
今だからこそ知っておきたい、企業収益「サプライズ」の正しい解釈とは?
今年の夏の世界的な株価下落をみごと的中させた馬渕治好氏は、決して弱気一辺倒のアナリストというわけではありません。そんな馬渕氏の「相場は実態に沿った明るい基調へ」との見解には一読の価値があります。
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『馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」』(2015年10月25日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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