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明らかに調整局面入りした米国市場、FOMC「利上げ」路線に変化はあるか?=近藤駿介

想定通りに「利上げ」実施か

株式市場が「調整局面入り」するなかで、今週19日・20日にFOMCが開催される。市場では25bpの利上げを76%ほど織り込んでいる(CME FedWatchベース)。

言い換えれば23.4%が現状維持を見込んでいるわけだが、今週株式市場が急落でもしない限り、利上げは既定路線だと思われる。むしろ、FRBは「漸進的利上げ」を終えるためにも、早くFFレートを2.25〜2.50%に持っていきたいと考えていると思われる。

それは、9月のFOMCで「当局者15人が提出した中立金利の予測は2.5〜3.5%」であることが示されると同時に「緩和的」との文言を削除したことでわかる。

FRBが2.5〜3.5%が中立金利だと見なしている中で、仮に今週のFOMCで利上げを先送りしたとなると、FRBは「緩和的」な金融政策を維持していることになり、9月FOMCでの表明と矛盾が生じてしまうことになる。

こうした矛盾した政策を採用する決断を下すにあたっては、合理的な説明が必要になる。FRBは日銀ではないので、矛盾した政策を詭弁で乗り越えることは難しいし、世界の金融市場に混乱をもたらしかねない

逆に、FFレートを2.25〜2.5%に引き上げてしまえば、その先政策金利の引き上げを見送ったとしても「中立金利の状態を動かす必要がない」の一言で説明が済ませることができる

11月に入ってからのFRB高官の発言は明らかに「ハト派」に振れて来ており、政策金利引き上げの1回目のゴールは近いところにある。つまり、12月の予定通りの利上げは、近い将来「漸進的利上げ政策」にブレーキを掛けたい、少なくともこれまでの「漸進的利上げ政策」の効果を確認したいFRBにとっては必要が儀式だといえる。

2019年以降の「利上げ」方針は…

先週、FOMCの投票権を持つメンバーのなかで最も「ハト派」と目されているブレイナード理事は講演のなかで「漸進的利上げは『短期的』には依然適切だ」という発言をしている。

これまで「短期的」という表現をしてこなかったブレイナード理事がわざわざこの文言を追加したことは、この12月の利上げまでは適切であると見なしているが、その後の利上げは不明という態度を示したものだと思われる。

さらに、FOMCの投票権を持つメンバーで最も「ハト派」であるブレイナード理事が12月の利上げを適切だと発言したということは、彼女よりは「タカ派的」立場にあるその他の投票権メンバーを含めてコンセンサスが取れていると考えるべきだと思われる。

週初によほどの株価下落に見舞われない限り、今週はFOMCの利上げが実施されると考えるべきである(※編注:FOMCは18日・19日に開いた定例会合で、今年4度目となる利上げを発表。2019年の利上げ予測は2回に減少しました)。

Next: 不確実要因が強過ぎる。2019年の投資戦略は今週のFOMC次第

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