7月6日に改正された相続のルールが、2019年7月から順次施行される予定となっています。今回の大幅な改定内容について、改めて詳細を確認してみましょう。(『こころをつなぐ、相続のハナシ』山田和美)
1986年愛知県稲沢市生まれ。行政書士、なごみ行政書士事務所所長。大学では心理学を学び、在学中に行政書士、ファイナンシャルプランナー、個人情報保護士等の資格を取得。名古屋市内のコンサルファームに入社し、相続手続の綜合コンサルに従事。その後事業承継コンサルタント・経営計画策定サポートの部署を経て、2014年愛知県一宮市にてなごみ行政書士事務所を開業。
2019年から順次試行される相続法改正の内容とは?
まず2019年7月に、遺産分割前の預貯金の仮払いなど
2018年7月6日、相続についてのルールが大きく変わる改正がされました。この改正は成立しただけで、まだ施行はされていません。施行時期は一律ではなく、2109年から順次施行されていく予定です。
今日は、改正の時期についてお伝えしていきます。まず施行時期の原則は、2019年7月1日です。2019年の半ばには、施行されていくということですね。
この時期に施行されるものは例えば、以下の規程があります。
・遺産分割前の預貯金の仮払制度
・遺留分の見直し
・特別の寄与についての規程
その他細かなルールは、原則としてこの日に施行されます。
そして、一部の制度のみは施行時期が異なります。まず自筆証書遺言の方式緩和ですが、これは2019年1月13日からの施行です。
自筆証書遺言はこれまで、全文手書きでなければ無効とされていました。この改正により、自筆証書遺言のうち財産一覧の部分だけは、ワープロ打ちでも問題ないこととなります。この改正が、1月13日ということです。
なお、自筆証書遺言についてはもう一つ大きな変更があります。それは、法務局で自筆証書遺言を預かってもらえるという制度ですが、これは2020年7月10日施行です。
同じ遺言書に関する規定ですが、時期が異なるため注意しておきましょう。
配偶者居住権の制度は2020年4月の施行予定
もう一つ、施行時期が異なるものとして、配偶者居住権に関する制度があります。
配偶者居住権には二つの制度があり、一つは相続開始後、遺産分割協議がまとまるまでの間、配偶者が一定期間は自宅に住みつづられる短期配偶者居住権。
もう一つは、自宅不動産という財産を「亡くなるまで住む権利(=配偶者居住権)」と「所有権としての自宅」に分けることで、より柔軟な遺産分割ができるようになる、狭義の配偶者居住権です。
これらの制度については、2020年4月1日の施行です。
今回の改正はかなり大きなものです。そのため、制度の概要を大まかにでも知ったうえで、ご自身やご家族の相続・終活に影響があるかどうか、検討されることをおすすめします。
年末年始、ぜひ相続や終活についても、考える時間を作られてはいかがでしょうか。
『こころをつなぐ、相続のハナシ』(2018年12月26日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による
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