欧州・中国・日本には投資できない…
新たな投資先を求めてさまよっているドルは、ブレグジットによってユーロが不安定になる可能性が高いので、ヨーロッパへの投資には及び腰です。
かといって、貿易戦争の渦中にある中国には投資できないので、結局、消去法で行くと日本円に投資するしかなくなってきます。
しかし、外国人投資家は、日本の株式市場が日銀と年金基金GPIFによる買いによって支えられている官製相場に投資することも気が進まないのです。
今月上旬にピークを迎えた上場企業の決算発表では、中国の景気減速が響いて下方修正が相次いでいます。また、帝国データバンクが2月5日発表した1月の景気動向調査によると、2016年2月以来、約3年ぶりに全国10地域すべてで景況感の悪化が示されています。さらには、今年春からのバーゼルIIIの厳格適用を前に、金融庁の金融機関への検査が始まろうとしています。
去年、メガバンク同士のATM一本化が打ち出されてコスト削減に取り組む銀行の実態が浮き彫りにされましたが、日本の三大メガバンクの1つ、みずほフィナンシャルグループが、2018年10−12月期で7割近い減益となったことは、日本の金融機関の行く末を案じる投資家の声をいっそう大きくしました。
こうなると、他の二大メガバンクも推して知るべしで、日本の金融システムが揺らぎ始めたことを示しているのです。
これも、アベノミクスの圧力による日銀のマイナス金利導入が金融機関を傷めつけた結果で、すべての政策が裏目に出て、官邸が今まで必死に隠してきたことが一気に表に出てくるというのが春にかけてであるということなのです。
いきつく先は金(ゴールド)
したがって、最後に残った市場が金(ゴールト)市場だったというわけです。
これが、トランプが国家非常事態を宣言しても恐怖指数(VIX指数)が上がらず、株式市場の下落と逆相関の関係にあるはずの金(ゴールド)だけが、ソロリソロリと上昇している理由です。
とはいえ、米国の利上げによって世界的に企業のデフォルト・リスクが高まっています。
企業のさらなる格下げが起こると、意外にも、あっさりと奈落の底に落ちていくというシナリオも現実味を帯びてくるのです。
いずれにして、金(ゴールド)や銀(シルバー)の値上がり要因しか見当たらないので、価格の上昇が期待できるでしょう。