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中国の野望「北極圏開発」と「宇宙進出」に各国が警戒、裏には軍事的思惑が見え隠れ

中国のグリーンランド支配を警戒する国も…

すでに中国は、グリーンランドの3か所で、レアアースやウランなどの開発に投資していて、グリーンランド側も中国からの投資に前向きです。

グリーンランドは、デンマークからの独立を悲願としているのですが、目立った産業がなく、行政予算の半分をデンマーク政府からの補助金に頼っているのが実情です。それゆえ、中国からの投資によって経済的に自立できれば、独立への道が開かれるとの思いが広がっているようです。

グリーンランド自治政府は、島にある3つの空港の建設工事の入札で、最終候補のひとつに中国の企業を選んだことに対し、デンマーク政府は危機感を覚え、自治政府への資金提供を約束して、事実上、中国企業の参入を阻止した経緯があり、デンマーク政府は中国の北極海進出を警戒しだしてきています。

前述の「北極サークル」の会議でも、中国の北極圏開発の行方を議論する討論会が開かれ、中国に対する懸念の声が聞かれました。資金援助で中国への債務を膨らませて、中国が実質支配する…マイク・ペンス米副大統領が非難した、中国海外進出のやり方そのものですね。

それでも、中国外務省は「グリーンランドに投資できないなら、中国はほかの投資先をいくらでも見つけられます。ここの未来を共有したいという、中国の活動は止められません…」と発言しています。

この中国の動きに対しアメリカは、グリーンランドに空軍基地を設けるなど、安全保障上も重要な地域だとの認識があるため、そこに中国が過度に進出することへの警戒感を強く示しています。

ロシアは20年間閉鎖していた北極海沿いの軍事基地を2013年に復活させて、北極圏への関与、プレゼンスを強めようとしていました。

中国は国産砕氷船「雪竜2号」を上海で進水、遠洋型の海軍力増強も着々と進めています。

ロシアが択捉島に地対艦ミサイルを配備し、北極海航路上でミサイル発射演習を繰り返してきたのは、中国に対する牽制(けんせい)の意味合いがあるとも言われています。

対立だけでなく協力も

2017年12月8日、北極に面したヤマル半島で「ヤマルLNG(液化天然ガス)」が正式稼働し、記念式典にはプーチン大統領も姿を見せました。「ヤマル」は北極最大のLNG開発プロジェクトで、中国も資金協力する中ロ協力案件です。

2019年に全面竣工した後、3本の生産ラインで毎年中国に400万トンのLNGを供給しています。この量は中国が輸入するLNG総量の8%に相当し、中国はここを「氷上シルクロードの重要拠点」と位置付けています。

ユーラシア研究所によれば、ヤマルLNGプロジェクトを手掛けるのは、主に天然ガスと液体炭化水素の探鉱・生産・精製・販売を手掛けるロシア民間企業である独立系のノバテクで、フランスの石油大手トタルや、中国石油天然ガス集団が、プロジェクト会社のヤマルLNGに出資し運営を行っています。

権益はノバテクが50.1%、トタルが20%、CNPCが20%、中国政府のシルクロード基金(Silk Road Fund)が9.9%を保有しているとあります。

プラント建設には、日本企業は日揮と千代田化工建設が請け負っています。また、制御システムおよび安全計装システム供給には横河電気が、LNG輸送サービスには商船三井がかかわり、丸紅も関与しています。2016年日ロ首脳会談で安倍総理がプーチン大統領と約束し、ファイナンスでは、国際協力銀行が融資してます。

米国政府は2015年、石油メジャーのシェルに北極海での石油・天然ガス開発を承認、試掘を許可しました。

またロシア最大の石油国営会社「ロスネフチ」は2011年、北極の石油開発で米石油大手エクソンモービルと開発提携で合意、ロスネフチは、中国企業との間でも北極陸棚プロジェクトについてさまざまな協議を進めています。

北極資源をめぐる米中ロ3国の争奪はすでに始まっていると言えます。

Next: 中国の野望はついに「宇宙」へ。原子力スペースシャトルは平和利用されるのか…

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