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「もう印鑑やめようよ」の声を黙殺へ。デジタル手続法案が印鑑業界の圧力に屈したワケ

海外では「電子署名」が主流

いまや電子署名が普及していて、様々な契約の場で印鑑不要で行われる場面が増えています。

まさに海外では「サイン」中心で、印鑑を使っているのはごくごく少数派。そもそも海外では印鑑などは存在しないでしょう。印鑑の材料として象牙がもてはやされ、日本が世界の非難をあびた経緯もあります。

風水などの占星術とも結びつく印鑑ですが、それを「日本文化」とか「伝統」とかで容認するのは、もはや説得力を持たないような気がするのですがね。

日本での契約や商取引で印鑑が登場する場面を考えて見ますと、

  • 実印:土地購入、車の購入、ローン契約など
  • 銀行印:銀行口座開設、預金の引き出しなど
  • 認印:履歴書、婚姻届、請求書、郵便物の受け取りなど

がありますね。

これらの印鑑は実印を除き、100円ショップやホームセンターなどでも売られている大量生産の安価な、いわゆる「三文判」で事足りるのです。

こんな程度の形式は、本当に必要なのでしょうか。三文判がないだけで手続が止まってしまうことに、なんの合理性があるのでしょうか。

世界で普及しつつあるデジタルな本人確認手段には、「電子署名」「ID・パスワード」「フォーム入力」といった方式があります。

海外の例では、「国民ID(国民識別番号)」とパスワードにより、あらゆる契約や行政機関の手続きがオンラインで完結するところまで行っている国があります。

この議論では、日本では「マイナンバー制度」普及の必要性に触れられますが、このことに関しては先週号で詳しく検証しました。

【関連】なぜ政府は全国民にマイナンバーカードを持たせたいのか?2021年、健康保険証と一体化へ

ハンコを使うのは日本・台湾・韓国だけ…

FAXやガラケーがいまだに現役なことに驚く訪日外国人は多い…。

出典:「デジタルファースト」で岐路に立つ日本の「はんこ文化」 – ニューズウィーク日本版(2019年2月1日配信)

これは、Newsweekにフォトジャーナリストの内村コースケ氏が投稿した記事に書かれている一文ですが、この続きで、内村氏は、日本の「ハンコ文化」について書かれています。その一部を掲載しますと、以下のように指摘されています。

現在、印鑑登録制度を取り入れているのは、日本と、統治・併合時代に日本から導入した台湾韓国以外にはない。ちなみに、台湾の印鑑はフルネームのオーダーメイドが普通で、量産品の三文判はないようだ。印鑑の発祥の地である中国本土では、土産物や工芸品としての印鑑は一般的だが、社会制度的には欧米と同じサイン文化だ。

韓国では、日韓併合時代から印鑑登録制度が100年余り続いたが、ハングルは画数が少なく偽造しやすいことなどから、2014年までに段階的に全廃する法案が提出された。ただし、業界団体の反対等で先延ばしになっており、まだ全廃には至っていないようだ。それでも、廃止は時間の問題と見られ、近年はサインと電子認証が普及し始めている。

出典:同上

現在世界中で「ハンコ」を使っているのは、日本と台湾や韓国とありますが、台湾や韓国は日本から押し付けられたもののようで、実質ハンコ文化は日本独特のものであるということですね。

内村氏は、日本土産として外国人観光客に「ハンコ」が人気であることを挙げながら、それは実用品としての「ハンコ」とは分けて考えるべきで、日本の「ハンコの未来」を考えなければならないと述べておられます。

Next: 選挙のために業界圧力に屈した?国民の利便性は二の次なのか…

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