政府統計不正の問題はなんとなく騒がれなくなってきましたが、実質賃金の低下はデータ改ざんでも隠せない状況となっています。消費税増税見送りの決断は時間の問題かもしれません。(『今市太郎の戦略的FX投資』今市太郎)
※本記事は有料メルマガ『今市太郎の戦略的FX投資』2019年5月10日, 14日号の抜粋です。興味を持たれた方は、ぜひこの機会にバックナンバー含め初月分無料のお試し購読をどうぞ。
延期は時間の問題?「やるやる詐欺」で国際的信用は地に堕ちる…
データ改ざんでも隠しきれない
さんざんデータを弄りまわして、アベノミクスの成果は国家統計の改ざんだけなのではないかとさえ言われたこの春先のインチキデータ騒動。
なんとなく騒がれなくなって気がついてみますと、さんざん弄り回しても大きなマイナスが示現してしまい、もはや実質賃金低下はデータを改ざんしても補えない状況に陥ってしまったようです。
厚生労働省が10日に発表した毎月勤労統計調査速報によりますと、3月の実質賃金は2.5%のマイナスで2015年6月以来の低水準を示現することになってしまいました。
これで前年同月を3か月連続で下回ることとなったわけです。
全力で改ざんにつとめてアベノミクスの成果をねつ造することに貢献しようとした厚生労働省の成果もむなしく、実質賃金はどんどん低下傾向にあることがあからさまになりました。
消費支出は拡大中?
一方、総務省がまとめた消費支出のほうは、4か月連続で増加中となっています。
つまり、実質賃金が毎月下がり続けている中で、消費支出だけが増加するという不思議な結果が現れています。
総務省では基調判断を「持ち直しの動きがみられる」としていますが、その理由はまったくもってよくわからない状況です。
前年比で増加に寄与したのは、交際費や諸雑費などのその他の消費支出、交通・通信、設備修繕・維持といった住居などだそうで、また弄りやすい「その他」項目を大きくしたのでは?と疑いを向けたくなるような結果です。
疑惑の殿堂・内閣府もとうとう白旗の景気悪化
そして、国家統計の何が本当かさっぱりわからなくした張本人である内閣府が13日に公表した3月の景気動向指数は、指標となる一致指数が99.6となり前月比0.9ポイント悪化となりました。
同指数から機械的に決める基調判断は、従来の下方への局面変化を示しているから悪化を示しているとなり、戦後最長の景気拡大はすっかりどこかへ行ってしまった感があります。