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企業不祥事はなぜ増加する?ピンチを投資チャンスにする、7つの実例=山崎和邦

企業不祥事から投資家として何を学ぶか──筆者が実行した7つの事例

昔から「事件には買い向かえ」「天災は売るべからず」と言われてきた。これは弱みを叩くなという士道などから来るものではない。単純明快な利益獲得動機から言われるものである。筆者自身がこれを実践してうまく行った例とうまく行かなかった例とを簡単に列挙したい。

<1:東芝の例 ※当メルマガで何度も触れたので要点だけ略述>

東芝の事件は技術や現場に問題があったのではなく、ノルマ意識の重圧に耐えられなかった幹部の粉飾数字が元だった。したがって、万が一上場廃止になっても現場や技術は動いているのだから再上場されればそれなりの企業価値は評価される株価が生まれるはずだと考えた。後述するオリンパスも全く同じ理由で買った。東芝の場合は、2兆円で半導体部分を売却するという具体的な売り先と売却値段が持ち上がった。

2兆円を発行株数で割ると一株435円になる。そこで筆者は250円以下171円まで本気で買い下がった。この時は稼働資金の半分以上を投入した(155円という半世紀ぶりの超安値の示現は16年2月12日のキューバ共和国への旅行中に知ったが、時差が14時間あるので直ちに買い注文を出したら日本では翌々日の月曜日となって171円になってしまったという経緯がある)。

事実、東芝は2月の155円から当年の12月には計算通りの435円を示現してその上の445円まで進んだ。もちろん「売りは早かれ」を金科玉条とするセッカチな筆者のことだから、380円ぐらいでは全部売り切った。このことは本稿で既述したが買いの動機と何度でも買い下がった事実と「売りは早かれ」の実践とが含まれている行動だから改めて述べた。

<2:オリンパスの例>

2年半の懲役を3人輩出したというほどの大掛かりな粉飾決算だというだけであって、内視鏡の技術は世界一、そのシェアも世界一ということには関係がない。

そこで2,000円のものが粉飾発覚と同時に1,000円まで暴落したが、1,000円割れから500円までを買い下がった。平均買値から約2倍になったので売ったが、売らないでいれば最安値から10倍以上になった。しかし、一定の目的を達する値段で売った場合はその後に後悔はない。「頭と尻尾は猫にくれておけ」と言うが、筆者はいつでも猫にくれるほうがずっと大きい。だが、後悔はしない。

<3:西武鉄道の例>

次に古い話しだが、もっとも単純明快な判断である。西武は堤代表が株主構成の大きな嘘を発表し続けてきたので東証が怒って直ちに上場廃止を決めた。

しかし、事業は順調に進んでいる。現に筆者はその西武鉄道で週一回、大学へ3科目の講義に行く。企業体としては順調に存続しているのだ。故に主幹事証券も西武本社自身も再上場を図るだろう。そうなれば、しかるべき株価として生まれるはずである。こう判断して平常時の株価の4分の1以下になったところを本気で買い、またナンピンして買い下がった。8年以上も待たされたが、再上昇した時に買値から2倍半で全部売却した。例の通り、もう少し待てば4倍にはなった。

<4:英BP社の例>

次に英BP社は、40ドルぐらいしていた大英帝国の名門会社がメキシコ湾でタンカー事故を起こし、オバマ大統領に1兆5,000を賠償金にとられた。

株は暴落した。これは「天災」ではないが「売るべからず」だし、「事故には買い向かえ」の格言通り、(損害保険制度は英国で生まれた。その英国の名門会社が損害保険をかけていないはずはないから)、直ちにほぼ前の値段に戻った。そのプロセスで全部売り切った。

<5:KYBの例>

もう1つの例、KYBは免震装置の欠陥で株価が何分の一にもなった。

本来この会社は油圧機器の名門で世界的メーカーであり、この会社がなければ全ての自動車は存在しない。建築物の免震構造などというものは、この会社にとって微々たるものでしかないし、決定的な欠陥が生じたわけでもなくデータの改ざんである。よって「ここから下値は買い下がろう」と決めて2,410円を打診買いした。

そしてナンピン買いの機会を待ったが、そこから日経平均は大幅に下がっても2,410円以下は再び来ることはなく、約2~3割株価は戻って、そこを維持している。

<6:失敗例としてタカタの例>

これはアメリカで起こった事故だ。アメリカは車検制度がない。そこで起こった事故だから、本質的なものかどうか判らないという判断で(メカに詳しくない筆者のことだから、その判断に確信があったわけではないので)大量には買わなかったが買い始めた。ところが株価は止めどなく下がり筆者の想定と違ってきたので損切りして投げた。

ここで言えることは、1:東芝における具体的な株価算定・2:オリンパスにおける確たる技術力、世界に冠たるシェア、3:本業は順調だが社長が嘘を言っていたから上場廃止になった西武、4:「事故には買い向かうべし」の格言通りの英BP社、5:主力商品とは別の部門の不祥事は軽視するというKYBについての考え方、これらの判断は正しかったとしよう。

ところが根拠もないのに「車検制度がないアメリカで起こった事故だから無視する」という判断は間違っていた。間違っていた判断は直ちに損金としてのペナルティが掛かるということである。しかし、投げなければ株はタダになった。

<7:サンバイオの例>

最近の例である。サンバイオは実験失敗の発表でストップ安を演じた。

こういう企業は実験失敗の発表でストップ安をし、成功の発表でストップ高をする。いずれもその発表寸前に賑わって買われていたか、失望売りが出ていたか、による。津男メルマガで2、3回述べた「風船の例」である。

サンバイオは、ビジネスモデルは真摯であると筆者は見ていたし、「ストップ安比例配分が続いた後の完全合致を買えば概ねは短期間で大幅値上がりする」というアノマリーを信じているから、よほどの悪質な事件でのストップ安でない限りは完全合致には買い向かう。

失敗したのは2000年春の光通信の例だ。セミナーでは計算書と罫線を示して詳述した。サンバイオの例はうまく行った。こういう企業は、実験に失敗したと発表すれば大幅安をするし、実験に成功したと発表すれば大幅高するものだ。

そこで図に乗って、再びの安値を買って「窓埋めまで上がる」を信じて2,831円の買い玉を3,780円の窓埋めの指し値で売り切った。(その後は例によって、筆者の売値を1,000円も大幅に上回った。筆者はほとんど常に「猫にくれてやる」方が大きい。が、そこに後悔や悔しさは寸毫もない。空売りではないのだから、売った後は自分と無関係だからだ)。

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第1部;当面の市況

第2部;『令和時代の株式投資』、「1億円以上の投資家」「ツワモノ」「一般投資家」の三者に対する日経ヴェリタス紙の1千人のアンケートの要約

第3部;中長期見通しと長期投資と、中央銀行への政治圧力の問題

第4部;消費増税と政局と市況

第5部;消費増税と政局と市況

第6部;企業不祥事と投資機会の実際

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※本記事は有料メルマガ『山崎和邦 週報『投機の流儀』』2019年5月14日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

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山崎和邦 週報『投機の流儀』』(2019年5月14日号)より一部抜粋
※太字はMONEY VOICE編集部による

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大学院教授(金融論、日本経済特殊講義)は世を忍ぶ仮の姿。その実態は投資歴54年の現役投資家。前半は野村證券で投資家の資金運用。後半は、自己資金で金融資産を構築。さらに、現在は現役投資家、かつ「研究者」として大学院で講義。2007年7月24日「日本株は大天井」、2009年3月14日「買い方にとっては絶好のバーゲンセールになる」と予言。日経平均株価を18000円でピークと予想し、7000円で買い戻せと、見通すことができた秘密は? その答えは、このメルマガ「投機の流儀」を読めば分かります。

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