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韓国ウォン急落、3度目の通貨危機に沈むか?~日本へ急接近する狙い=勝又壽良

韓国が抱える4つの問題点、それぞれ解消可能か?

私のコメントは以下の通りです。

<(1)成長率目標(2.6%)は達成可能か>

これは、率直に言って不可能です。この1~3月期のGDP成長率は、前期比マイナス0.3%(年率換算でマイナス1.2%)です。期初の成長率はその年のGDP計算に大きな影響を与えます。4~6月期も経済実態はなんら改善していません。輸出不振と内需不振が続いています。4月の失業率は、4月として2000年以来の高さという事実が、雄弁に雇用の悪化を示しています。

ムーディーズは、今年の経済成長率を2.1%と低く見ています。さらに厳しく予測している機関では1.6%と2%割れを見込んでいます。私は、2%割れが現実的な予測と考えています。輸出も内需も不振の韓国経済が、2.6%という政府目標の達成は未達でしょう。

<(2)税収見通しが良くないが、財政健全性は悪化しないのか>

韓国では、補正予算の編成について抑制的な姿勢です。財政健全化を維持する目的です。朴槿惠(パク・クネ)政権は在任中、1回しか補正予算を編成していません。ところが、文在寅政権は過去2年間で3回も補正予算を編成しています。最賃の大幅引き上げが失業者を増やしたので急遽、財政でアルバイトを雇用する本末転倒な事態に追い込まれました。

文政権は、最賃の大幅引き上げの見直しをする考えはありません。雇用悪化は財政支出でカバーする方針です。これによって、来年4月の総選挙を乗り切る方針のように見えます。依然、財政支出拡大は続くでしょう。財政均衡は保てません。

<(3)過度な半導体依存に対する代案は何か>

全輸出の5分1は半導体です。この過度の依存から抜け出すには、他産業が伸張しなければなりません。だが、自動車は米中の2大世界市場で販売シェアが後退し続けています。理由は、時代の流れにマッチした車種を発売しなかったことです。SUV(多用途自動車)が若者に人気でも品揃えができないなど、流行の変化に鈍感でした。

韓国の2大産業は半導体自動車です。自動車は競争力を失っています。これに代わる産業がありません。文政権は、規制が厳しく新産業の創出を阻んでいます。全自動運転車でも、道路上の規制が厳しく開発は進んでいません。

原子力産業は、文政権による突然の廃止政策で技術者の海外流出が進んでいます。もはや、輸出産業になれる基盤を失いました。福島原発事故による被害を過大に膨らませ、韓国国内で宣伝活動をしました。これを行なったのが市民団体です。太陽光発電の関係者でもあり、巧妙に利益誘導した形となりました。太陽光発電では、原発の100倍の敷地が必要です。韓国には平地が少なく、山地を切り崩す自然破壊によって太陽光発電を行な。こういう矛楯が起こっています。

Next: 通貨危機目前の韓国、なぜ日本に接近する?

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