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カネカ、育休明け転勤命令でSNS大炎上。老舗企業の人材軽視が経営危機に直結する=栫井駿介

経営力は見劣り。カネカの強みを活かすために必要なこと

問題を受けて、カネカの株価は下落しています。同社は買いなのでしょうか。改めて業績を見てみましょう。

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売上高は順調に伸び、直近の2019年3月期には最高を更新しています。しかし、利益は、2006年3月期からいまだに最高を更新できていません

カネカのような化学メーカーにとって、ここ数年は追い風が吹いていました。景気は上向きで、なおかつ製品の原料となる原油価格が低下していたため、利益を出しやすい環境にあったのです。大手化学メーカーは、この数年連続で最高益を更新しています。

そのような環境の中で最高益を更新できていないのはなぜでしょうか。それは、プロパー社員が大半を占める内向的な会社であるがゆえに、不採算事業からの撤退が遅れているからだと考えます。

各社の営業利益率を比較してみると、カネカが見劣りしていることがわかります。利益率の差は、会社の経営力の差と見て良いでしょう。

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不採算事業を多く抱えるということは、会社の資源が分散されてしまっているということです。そうなると、成長分野に機動的にお金や人材を投入することが難しくなり、また思わぬところから巨額損失が生まれることも珍しくありません。攻めにとっても守りにとっても良いことはないのです。

カネカの強みは研究開発にあります。様々な製品を開発しているからこそ知見は豊富で、毎年多くの研究開発費を投入しています。ここから新たなヒット商品を生み出していくことが成長戦略の柱となります。

しかし、研究開発の肝はなんと言っても人材です。いつまでも昔ながらの価値観を引きずったままでは、優秀な人材ほど離れていってしまうでしょう。不採算事業をいつまでも続けることも、不必要に人材を縛り付けることになります。

長期投資家の立場から見ると、今のカネカには決して投資する気にはなれません。社会的に問題があるだけでなく、経営の方向性から長期的な成長性が見込みにくいからです。

いいものは持っている会社です。今回の事件を機に、大きく変わることを期待しています。


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image by:IgorGolovniov / Shutterstock.com

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本記事は『マネーボイス』のための書き下ろしです(2019年6月11日)
※太字はMONEY VOICE編集部による

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【毎日少し賢くなる投資情報】長期投資の王道であるバリュー株投資家の視点から、ニュースの解説や銘柄分析、投資情報を発信します。<筆者紹介>栫井駿介(かこいしゅんすけ)。東京大学経済学部卒業、海外MBA修了。大手証券会社に勤務した後、つばめ投資顧問を設立。

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