FRBの3月追加利上げは見送り?それどころか「マイナス金利を検討」
さて、再び話を「マイナス金利」に戻しましょう。
日銀が民間銀行から国債を買い上げた時点で、民間銀行にお金を預けている預金者は「政府に対する債権者」ではなくなります。
しかし、何の裏付けもない紙切れが増刷され、それが国債の購入費用の支払いに充てられたことによって、国民の銀行預金の購買力は削られてしまっているのです。つまりは、預金者のお金の価値が減価されてしまったことになるのです。
これは、預金者が銀行口座に預けてあるお金に限りません。日本中に出回っている「円」の価値が希釈されてしまうことになるのです。
つまり、インフレと似たような現象が起こるのです。
それでも、金利がバブル時代並に高ければ、あなたの預金が減価されてしまった分を補てんすることができますが、これまで続いている長期のゼロ金利状態で政府が国債をじゃんじゃん発行し、それを民間銀行が次々に引き受ければ、あなたの貯金は、民間銀行が国債を購入するごとに価値が減っていくのです。
黒田総裁は、個人の預金者の不安を打ち消すように、「マイナス金利は個人預金はならない」と言明しましたが、これは、あくまでも「名目上」の話であって、「実質上」は、あなたの預金はこの瞬間も目減り(購買力が減って)しているのです。
つまり、銀行にお金を預けていることそのものが、見えない増税=「ステルス増税」の課税対象になっているということです。
結局、あなたは今でも政府に「見えない税金」を納めていることになるのです。
ですから、現在のようなゼロ金利状態で銀行にお金を預けたままにしておくと、個人の預金口座にまでマイナス金利が及ばなくても、実質的な価値が目減りしているということになるのです。
これは、日本だけでなく、各国の中央銀行がマネタリー・ベースを操作してきたことによって生じてしまう弊害です。
ほとんど、すべての国の通貨が減価されてきたことは、金(ゴールド)の価値と照らし合わせると明らかです。
(※第139号パート1「景気後退が加速する2016年からは金に主役が交代か!?」にて詳述)
日銀がゼロ金利政策を導入したのは、1999年(平成11年)2月、短期金利の指標である無担保コール翌日物金利を史上最低の0.15%に誘導することを決定した時点からです。
その間、政府が発行する国債はどんどん増え続け、逆に、あなたの銀行預金には、ほとんど金利はついていません。つまりゼロ金利が始まって以来、16年間も「政府に略奪され続けている」と見なしても良いのです。
ただ、幸いなことに、物価上昇率が1999年から2012年まで、マイナスかゼロを維持してきたので「円」の価値がそのまま温存され、所得が伸びない割に購買する商品価格に「お値打ち感」があったことです。
ところが、欧州中央銀行(ECB)が1年半前に「名目の」マイナス金利を導入し、日銀もそれに続いてマイナス金利の導入を決定したことから暗転するのです。
さらに、連邦準備制度理事会(FRB)のジャネット・イエレンまでもが、マイナス金利の導入をほのめかす発言を行ったとなると、世界の金融は、今までとまったく「逆相の様相」を呈すことになるのです。
「逆相の様相」は、実は私たちの目にはまったく見えないのです。
気を付けなければならないのは、「これからは銀行員を信じてはいけない」ということを肝に銘じることです。銀行員は、この事態を理解していません。まさしく「盲人が盲人の手を引く」世の中になるのです。
だから、私たちは「目には見えない逆相」を心の目で見ながら、次に備えなければならないのです。
それができなければ、「あなたはサバイバルできない」どころか、銀行員をはじめとする「盲人」たちとともに、崖から無理心中させられることになります。
しかし、「見えないものが見える人」には、その逆で、それなりに楽しいチャンスが巡って来るのです。
ECBは3月大幅利下げか?
2014年6月5日、日本、ヨーロッパ、米国、英国の「ビッグ・フォー」と呼ばれている世界の巨大中央銀行のうち、いち早く欧州中央銀行(ECB)がマイナス金利を導入しました。中央銀行の歴史では初めてのことです。
そのとき、ECBのドラギはこう言ったのです。「これが終わりではない」。このとき、マイナス金利政策の継続を示唆したのです。
ECBの本当の目的が、量的金融緩和そのものではなく、むしろマイナス金利の導入と、これを一歩二歩進めることであることが分かったのです。
事実、去年の12月3日、ECBは追加利下げを発表し、それまでのマイナス0.20%からマイナス0.30%に引き下げることを決めたのです。
さらに、今年1月21日に行われた政策理事会後の記者会見では、次回3月の政策理事会で金融政策の見直しを行うと表明、昨年12月の小幅の利下げとは異なり、次回3月については、市場予想を上回る大幅な利下げ幅とすることでサプライズ効果を生もうとするのではないか、という憶測が流れているのです。
市場関係者は、3月に注目しています。
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